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偽ワクチンカードと「生涯免疫」インチキ薬を販売。医師が逮捕

米司法省は14日、新型コロナウイルスに対する「生涯免疫」が得られると説明して、錠剤を販売した上、偽のワクチン接種証明書を提供していたカリフォルニア州ナパの女医を逮捕、起訴した。

起訴されたのはホメオパシーの専門医、ジュリ・A・マジ(Juli A. Mazi)被告(41)。罪状は、医療に関わる文書偽造罪と電子詐欺罪。有罪となった場合、最大で20年の禁固刑と多額の罰金の支払いを命じられる可能性があるという。

発表によると、今年4月、米保健福祉省(HHS)監察局のホットラインに、匿名の人物から、家族の一人がホメオパシー療法に基づくという錠剤をマジ被告から買ったと苦情があった。マジ被告は錠剤について、新型コロナウイルスを混ぜて作ったもので、抗体が得られると説明していた。さらに、この人物はワクチンを接種していないにも関わらず、接種が完了したとみせかけるため、「モデルナ」と書かれた接種証明書を送付し、錠剤を服用した日付を接種日として記入するよう指示していた。

米国立補完統合衛生センターはホメオパシーについて、200年以上前にドイツで発展した医療システムで、「病気は、同様の症状を起こす物質によって治すことができる」「投薬量は少ないほど効果が高い」いった2つの考に基づく治療法と説明。ただし、効果を示す証拠はほとんどないと指摘している。

マジ被告は顧客に、錠剤には「非常に少量の新型コロナウイルス」が含まれており、「生涯の免疫」を獲得できると説明していた。一方、食品医薬品局(FDA)が承認した3つのワクチンには「有害な成分」が含まれていると話していたという。

マジ被告はこのほかにも、カリフォルニアの学校のワクチン接種義務を満たすと嘘の主張をして、児童の病気にホメオパシー治療を提供していたという。

被害者の人数は明らかではない。マジ被告が使用していたオンライン決済サービスの記録によると、昨年1月から今年5月21日の間、1242回のトランザクションがあり、22万ドル以上を受け取っていた。大半の名目が不明だが、25回のトランザクション(7,653ドル)については、コロナに関連するの治療であったことが示されているという。

リサ・モナコ司法副長官は声明で、マジ被告が人々の不安を逆手に取り、政府承認のワクチンに関する嘘の情報を流して、偽の療法で人々を危険にさらしたと指摘。さらにワクチン証明書を偽造し、客にも偽造を指示したことで、感染拡大阻止に向けた国民の努力を妨げたと非難した。

HHS監察局のスティーブン・J・ライアン(Steven J. Ryan)特別捜査官は「この医師は人々が医療専門家に求める重要な信頼を踏みにじった」と非難。今後とも「詐欺師を取り締まるよう務める」と話した。

カリフォルニア州司法当局は5月、偽のワクチンカードを販売したとしてバーのオーナーを逮捕したが、カード偽造が連邦犯罪に問われるケースは今回が初めてだという。

今年4月、偽カードがeBayやEtsyで出回るなど、偽造または盗品の流通が急増していると報じられた。連邦捜査局は、購入をしないよう警告するとともに、ワクチン接種者に対して、個人情報が悪用される危険があるとして、カードの写真をSNSに投稿しないよう呼び掛けている。

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