ツイッター元従業員 外国政府のスパイ活動で禁錮3年半に

219

サウジアラビア政府から賄賂を受け取りユーザー情報を横流ししていたとして有罪となったツイッターの元従業員に、禁錮3年6月の実刑が言い渡された。The Hillが伝えた。

実刑判決を受けたのは、米国とレバノンの二重国籍を持ち、ツイッターで中東・北アフリカ地域のメディア・パートナーシップ・マネージャーとして働いていたアフマド・アブアモ被告。裁判記録によると、被告はサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の側近と接触してサウジの反体制派の情報を提供し、見返りに高額な贈答品を受け取っていたという。被告は未登録のまま外国政府の代理人として活動した罪、資金洗浄罪、記録偽造罪、その他詐欺罪などに問われ、今年8月に有罪評決を受けていた。

裁判記録によると、アブアモ被告は2014年にロンドンでサウジ政府当局者と面会し、4万2000ドル(約570万円)相当の「ウブロ」の高級時計を受け取った。その数日後、被告から同当局者宛てに、偽名を使ってサウジ王室の汚職疑惑などの内容を投稿するサウジの反体制派のツイッターアカウント情報を記した文書が送られたという。被告はその後も他のユーザーの個人情報にアクセスし、サウジ当局者と連絡を取り合っていたとされている。

また2015年、被告は同当局者から受け取った計10万ドルについて資金洗浄を行い、2018年10月に連邦捜査局(FBI)の捜査を受けた際に、虚偽の情報を提供したという。

米カリフォルニア州北部地区のステファニー・ハインズ連邦検事は一連の事件に関し、「外国政府がシリコンバレーのSNS企業に蓄積されたユーザーの情報を、内部関係者から買い取ろうと企む可能性を明白にした」と警告。「被告がユーザーの情報を反体制派に不寛容なことで知られる外国政府と共有した事実、そして被告には被告本人より罪が重い共犯者がおり、その人物は裁判を免れ国外に逃亡したという事実を、裁判所は強調した」と、外国勢力が米国の情報管理従事者に個人レベルで接触する可能性に危機感を示した。

Advertisement

米司法省の国家安全保障担当、マシュー・オルセン司法次官補も声明で、「アブアモ被告は米国に暮らす個人のプライバシーを保護する立場としての信頼を放棄し、外国の権力者の利益のために個人情報を渡した。米国の人々の法的権利を否定したという点で、被告の行動は言語道断だ」と訴えた。

サウジ政府はこれまでも反体制派に対する非人道的な扱いを国際社会から非難されている。2018年、サウジ政府に批判的だったワシントン・ポスト紙のサウジアラビア人記者、ジャマル・カショギ氏が暗殺された事件について、米情報機関は、ムハンマド皇太子が殺害を指示したと結論付けている。