エアビー物件で幼児がフェンタニル摂取で死亡、家族が提訴

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Airbnb
Pe3k / Shutterstock.com

民泊サイトAirbnbで予約した宿泊先で死亡した幼児の体内からフェンタニルが検出された問題で、両親が同社や物件所有者に対する訴えを起こした。

ワシントンポスト紙によると、家族が宿泊したのは2021年8月、フロリダ州ウェリントンにある2バス付きの湖畔に面した物件だった。母親のラヴェニールさんが、数時間前に寝かしつけた生後19ヶ月のエノラちゃんの様子を見にいくと、青ざめて口から泡を吹いているのを発見。すぐに救急車を呼んだが、命は助からなかった。

パームビーチ郡検視官による検死と独立機関による毒物調査報告書から、エノラちゃんの体内に致死量のフェンタニルが含まれていることが判明した。

ただしこれまでのところ、薬物の出所は特定されていない。

捜査官らは、物件内のどこにもフェンタニルの痕跡を発見できず、以前の利用者に聞き取りを行い、そのうちの一人はコカインパーティーを開いたことを認めたが、コカインとエノラちゃんの死因を結びつけるものはなかった。両親の所持品からも検出されなかった。

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捜査官は最新の報告書で、「フェンタニルをどのように摂取したのか、今のところ判断できない」とした上で、現時点で死因は事故とされていると報告しているという。

今のところ刑事訴追はないものの、両親は、フェンタニルがパーティーの参加者によって残され、適切な清掃がされなかったとしてAirbnbと物件の所有者、その管理者、パーティーを主催した利用者を提訴した。

ただし法律専門家は同紙に、薬物の出所が特定できない状況では、裁判にかけられる可能性は低いとの見方を示している。

一方、家族の弁護士は、依頼人はパーティーの参加者がフェンタニルを持ち込んだと考えているとしつつも、薬物の出所を突き止めることは最大の関心事ではないと説明。フェンタニルが部屋にあったのは間違いなく、Airbnbが清掃や警告、家族に対する安全対策の提供を怠ったことを示したい、と訴訟の主眼を語っている。

フェンタニルは合成オピオイドの一種で、激しい痛みやがん患者に処方される医療用のものは、モルヒネの50~100倍強力とされる。違法に製造され、ブラックマーケットで売られたフェンタニルに関連する死亡事故のケースが後を経たず、社会問題となっている。米疾病対策センターは、2020年にフェンタニルを含む合成オピオイドの過剰摂取によって死亡した人数は5万6,000人を超え、2013年と比べ18倍に増加したとしている。