米軍関係者に宛てたはずのメールが、マリ共和国に届き続けている

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過去10年以上にわたり、米軍関係者にあてた何百通にのぼる電子メールが、西アフリカのマリ共和国のメールアカウントに誤って送信されているという。

The Hillが報じたところによると、原因は国防総省のドメイン(.MIL)とマリを表すドメイン(.ML)が似通っており、単純なタイプミスで送られるケースが後を絶たないのだという。

誤って送られた情報には、外交文書や医療データ、施設の地図や写真、身分に関する情報、パスワード、納税申告、上級将校のためのホテルの予約など多岐に渡っている。

問題を2013年に発見したのはオランダの技術者でマリの国別ドメインを管理するヨハネス・ズールビア氏で、過去何度も国防総省に警告を試みているという。

国防総省のサブリナ・シン副報道官は同サイトに、「統制された国家安全保障情報が不正に開示されたことを認識している」と問題を認めつつも、マリに誤って到達したメールには、国防総省のメールアドレスから送られたものはなく、Gメールやヤフーといった軍職員が個人的に使用しているメールアカウントから送信されたものだと答えた。

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同氏はさらに、個人アカウントを使用するのを控えるよう求めているとしたほか、今年4月、マサチューセッツ州の州兵が政府の機密情報をSNSに漏洩した事件が発覚した後、国防総省のシステムに「政策と訓練のメカニズムを導入した」と説明している。

この一環で、.MILから.MLに送られたメールはバウンスバックするよう設定されたという。

こうした努力にもかかわらず、誤送信は続いており、前出のズールビア氏はファイナンシャルタイムズに、今年1月から収集した誤送信メールは11万7,000件あり、7月12日に到達したものだけで1,000件近くあると明かした。

今月、当局者に書簡をしたため、「このリスクは現実で、米国の敵対国に悪用されかねない」と警告したという。

ゴイダ暫定大統領のもと、マリはアフリカで最もロシアと親密とされ、ウクライナ戦で世界的に認識が広まった民間軍事会社「ワグネルグループ」の傭兵らの活動も確認されている。