木曜日, 5月 28, 2026
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クリプトマネー、中間選挙を飲み込む──テキサスでベテラン議員が相次ぎ敗北

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27日に投開票が行われたテキサス州決選投票で、現職のベテラン議員が相次ぎ敗北を喫した。民主・共和両党にまたがる今回の結果の背景に、暗号資産業界が支援するSuper PACの大規模な資金投下がある。

グリーン議員、11期の実績も届かず

ヒューストンを地盤とする民主党のアル・グリーン下院議員(第18選挙区)は、同じ民主党のクリスチャン・メネフィー議員に約70%対30%の大差で敗れた。グリーンは下院金融サービス委員会のメンバーとして、今サイクルのGENIUS法(ステーブルコイン規制)とクラリティ法案(暗号資産市場の監督権限整備)の両方に反対票を投じてきた人物だ。

グリーンが第18選挙区で出馬した背景には、テキサス州の選挙区再編がある。長年代表してきた第9選挙区が共和党優位に塗り替えられたため、2月に急きょ転区を決めた。対するメネフィーは、昨年逝去したシルベスター・ターナー前議員の後継として補欠選挙で当選したばかりの新顔だった。

同じ民主党同士の争いを資金面で決定的に左右したのが、クリプト系PACの資金だ。Fairshake傘下の「Protect Progress」は、メネフィー支援に500万ドル、グリーンへの攻撃広告に280万ドルを充て、一次予備選と決選投票を合わせた総支出は650万ドルに達したと報じられている。

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共和党上院でもコーニン議員が完敗

同日の共和党上院議員決選投票では、4期を務める現職ジョン・コーニン上院議員が、元司法長官ケン・パクストンに大差で敗北した。パクストンは強固なMAGA支持層を背景に選挙戦を優位に進めたが、Tether関係者主導の「Fellowship PAC」から約50万ドルの支援も受けた。同PACには、カンター・フィッツジェラルドや暗号資産カストディアンのアンカレッジ・デジタルなどが出資している。

Fairshakeとは何か

今回の選挙の背後にいるFairshakeは、Coinbase、Ripple Labs、シリコンバレーのベンチャーキャピタルAndreessen Horowitz(a16z)を主要出資者とするSuper PACだ。暗号資産業界に有利な規制環境の確立を主目的とし、業界に批判的な候補の排除と、友好的な候補の当選支援を通じて政策形成への影響力を強めている。連邦選挙委員会への開示データによれば、Rippleが2025年以降に計4,800万ドル超、Coinbaseが同4,200万ドル超を拠出。2026年1月時点の手元資金は1億9,300万ドルと、主要政党のPACに匹敵する規模に達している。

運営の特徴は三叉構造にある。Fairshake本体が資金を管理し、民主党候補を支援する「Protect Progress」と、共和党候補を支援する「Defend American Jobs」という2つの関連PACが党別に展開する。一部報道によると、テキサス全レースへの総投下額は900万ドル超に上っている。

全米展開と最初の誤算

Fairshakeの活動はテキサスにとどまらない。アラバマ・ジョージア・ケンタッキーの予備選にも計2,000万ドルを投じて成果を上げており、ニューヨーク州の複数の下院レースへの参入も報じられている。

一方、3月のイリノイ州民主党上院予備選では、副知事ジュリアナ・ストラットンの落選を狙い1,000万ドル超を費やしたが奏功しなかった。ストラットンは「MAGA系のクリプト資金による介入」への反発を訴えて票を集め、これはFairshake史上最大の敗北となった。

クラリティ法案の採決が焦点に

今回の結果が直結するのが、議会で大詰めを迎えるクラリティ法案の審議だ。暗号資産市場の監督権限を2つの金融規制当局に割り当てる同法案は、下院を昨年7月に通過し、今月上院銀行委員会を通過した。夏の休会前に本会議採決に持ち込めるかが焦点だ。

グリーンは法案に懐疑的な議員の一人だった。Fairshakeのスポークスマン、ジェフ・ベターは、The Hillに宛てた声明で「グリーンの敗北は、反クリプトの姿勢が選挙で代償を伴うことを証明した」と述べた。テキサスの結果は、法案審議を見守る議員たちへの牽制として機能しうる。

Fairshakeは民主・共和の両党系PACを通じて資金を流し続けており、その影響力は特定の政権や多数党に依存しない構造となっている。こうした超党派的な資金配分は、暗号資産業界の意向を一時的な政治状況ではなく、継続的な政策形成プロセスに組み込む動きといえる。テキサスで示された結果は、個別選挙の勝敗を超え、規制の方向性そのものに対する持続的な圧力の存在を浮き彫りにしている。