日曜日, 5月 3, 2026
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議員の財布:株から債券へ、ワシントンはリスクオフの気配――今週のSTOCK法開示から

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米議会議員の株取引開示(STOCK法)は、取引から45日以内の報告が義務づけられている。「報告日ベース」で今週開示された取引の中から主な取引を拾う。

ムーア議員(共和・ノースカロライナ)、NVIDIA・消費株を手じまい
4月28日付の報告書には、4銘柄の売却が記載された。エヌビディアを1万5,001〜5万ドルの範囲で、住宅建設大手LGIホームズを10万1ドル超で、ハーレーダビッドソンを5万1,001〜10万ドル、クラッカーバレルも1万5,001ドル超で売却した。テック、消費、住宅建設といったセクターの売却が並ぶ。

ディンゲル議員(民主・ミシガン)、住宅債と不動産投信を購入
同じく4月28日付の報告書には、ミシガン州住宅開発局(MSHDA)が発行するシングルファミリー向け住宅債券を1万5,001〜5万ドルの範囲で購入したことが記載された。あわせて不動産関連の税制優遇型投資信託(Cohen & Steers Tax-Advantaged)も購入している。MSHDAは住宅供給を担う州機関。議会では、住宅供給拡大に向けた立法活動が活発化している。

デルベニ議員(民主・ワシントン州)、テキサス州長期地方債を購入
4月28日付の報告書によると、テキサス州タラント郡が発行する文化教育施設債(利率5.00%・2051年満期)を1万5,001〜5万ドルの範囲で購入した。利率5%の超長期債という条件が目を引く。

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マコーミック議員(共和・ペンシルベニア)、地方債を継続購入
5月1日付の報告書には、ペンシルベニア州一般財源債、ピッツバーグ大学歳入債、アレゲニー郡高等教育建設歳入債など計7銘柄の地方債が記載された。各銘柄50万1〜100万ドルの範囲での購入で、あわせてGS管理のMSCI EAFE連動仕組債も3件購入している。マコーミック議員はブリッジウォーター・アソシエイツの元CEOで、上院銀行・住宅・都市問題委員会に所属する。3月以降、地方債の大量購入が繰り返し報告されており、今週はその継続となった。

今週の並びを単純化すると、株式(テック・消費・住宅建設)は売却、地方債・住宅債・不動産関連資産の購入が並ぶ構図だ。

4月は上院銀行委員会がウォーシュFRB議長候補を承認し、パウエル体制最後の会合で政策金利は3.5〜3.75%に据え置かれた。FRBは「様子見」を維持しており、次の一手が読みにくい。米イラン戦争は停戦と封鎖を繰り返しながら膠着が続き、エネルギー高とインフレ再燃リスクが市場に漂う。議会では住宅供給法の成立や地方債の税優遇拡大を目指す複数の法案が動いており、住宅債・地方債まわりの立法環境も活発化している。

そうした環境下で報告された今週の取引は、固定利付き資産への傾斜が目立つ、短期の値幅よりも利回りの確保を意識した動きとも読める。

STOCK法はあくまで「報告」を義務づけるものであり、取引そのものを禁じてはいない。取引日は報告日の最大45日前まで遡りうるため、個々の取引と特定イベントの直接の因果関係は開示情報からは確定できない。それでも、政策議論と並走する形で行われる売買記録には、市場の視線が集まっている。