金曜日, 5月 1, 2026

トランプの”買い物袋”の中身——取引記録(3月)を覗く

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trump tower
トランプタワー ©MashupReporter

米大統領の財務開示(OGE Form 278-T)によると、トランプ大統領の3月の取引件数は174件。政府倫理局が4月25日に公表したもので、購入163件・売却11件が記録されている。金額は上下限のレンジ表示で、最大規模の取引は1件あたり最大500万ドルに達する。(取引一覧はこちら

最も多かったのは地方債

資産クラス別では、地方債が97件と最多だった。学校、医療、公益インフラ関連など、公共性の高い案件が中心を占める。 社債は58件でこれに続く。すでに繰り返し登場している銘柄に加え、新たな発行体も複数含まれている。 このほか、優先株が7件、米国短期国債(T-Bill)が6件、普通株が4件、ETFが2件となっている。

数日で売買されるT-Bill

今回の開示で目を引くのが、短期国債(T-Bill)の動きだ。 3月中旬以降、同一銘柄を購入してから数日以内に売却する取引が複数回確認されている。

  • 3月13日:4月満期のT-Billを購入
  • 3月16〜17日:同銘柄を売却
  • 3月27日:再び購入

長期保有というより、短期の資金運用として使われている様子がうかがえる。

特集コーナー

GMとウェアハウザー、社債を大型購入

3月24日には、企業債の中でも比較的大きな取引があった。

  • ゼネラルモーターズ(GM)社債(2027年満期)
  • ウェアハウザー社債(2029年満期)

いずれも最大500万ドル規模での購入となっている。

CoreWeaveは継続して登場

AIデータセンター企業CoreWeaveの社債(利回り9%、2031年満期)も3月2日に購入されている。 この銘柄は2025年後半以降、開示に繰り返し登場しており、今回の3月分では購入のみで売却は見られなかった。なお今回の購入規模は最大100万ドルで、過去の開示で記録された最大500万ドル規模の取引より小さい。

AI・電力・医薬にまたがる社債

個別銘柄をみると、社債は幅広いセクターに分散している。

テクノロジー関連

  • NVIDIA
  • マイクロソフト
  • メタ・プラットフォームズ
  • ケイデンス・デザイン・システムズ

エネルギー・電力

  • コンステレーション・エナジー
  • エバーソース・エナジー
  • Xcelエナジー

医薬・ヘルスケア

  • イーライ・リリー
  • アッヴィ
  • ユナイテッドヘルス

複数のセクターにまたがる形で購入が行われている。

月初に並ぶ”おなじみの顔ぶれ”

3月2日には、これまでの開示でも繰り返し登場してきた社債がまとめて購入されている。 ネットフリックス、カーニバル、オクシデンタル・ペトロリアム、メイシーズなど、いずれもハイイールド帯の銘柄が中心だ。 同様のパターンは過去数カ月でも確認されており、月初に同一銘柄を再購入する動きが続いている。

優先株は入れ替え

金融機関の優先株では、3月も入れ替えが見られた。 ウェルズ・ファーゴの一部銘柄を売却する一方で、別シリーズの優先株やコアブリッジ・ファイナンシャルの優先株を新たに購入している。

全体像

3月の開示を通してみると、

  • 地方債と社債が中心
  • 月初に繰り返し購入される銘柄群
  • T-Billや一部地方債での短期的な売買

といった動きが並ぶ。 大統領の取引はSTOCK法の対象外で、今回の開示は倫理規則に基づくものだ。個々の取引の背景は明らかではないが、月次で追っていくと、売買のパターン自体は徐々に見えてくる。(取引一覧はこちら