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「ハバナシンドローム」CIA長官がロシアに警告

米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は今月、モスクワを訪れた際、ロシアがハバナシンドロームに関係していると判明した場合、「責任を取ることになる」と同国の諜報機関トップに警告したことがわかった。ワシントンポスト紙が伝えた。

ハバナシンドロームは、2016年にキューバの外交官らの間で報告された謎の神経性の症状。職員らは、大きな音が聞こえ、頭部に圧力を感じた後、めまいや歩行障害、視覚障害などの症状を訴えた。2018年には、中国に滞在する外交官とその家族など十数人が、同様の症状を訴えた。現在、世界各国で報告されており、患者の一部は、脳損傷など、長期間におよぶ深刻な被害に苦しんでいるとされる。原因について、マイクロ波兵器や、ロシアや中国の関与を指摘する声があるものの、これらを公に裏付けたものはない。

バーンズ長官の訪露は、ウクライナ国境でのロシア軍の増強に懸念を表明し、軍事侵攻を容認しないと伝える目的だった。

バーンズ長官は、ロシア連邦保安庁(FSB)と対外情報超の指導者らとの会談中、ハバナシンドロームに言及。ロシアを直接的に非難しなかったものの、攻撃は「プロの諜報機関」による行為の範疇を超えたものだと、考えを伝えたという。

これまでの被害者は、200人近くに上るという。今年8月には、ベトナムの首都ハノイで、カマラ・ハリス副大統領が訪問する直前、現地の米軍関係者が、ハバナシンドロームの症状を発症したことから、スケジュールが遅れる出来事があった。この翌月も、バーンズ長官のインド訪問に同行した職員が、症状を訴え、手当てを受けたという。この出来事について、一部からは、どこでも標的にすることができるという、CIA長官に対するメッセージだと指摘する声も上がった。

ポスト紙は、バーンズ長官の会話は、米政府が未だに病気の原因を判定しかねていることを示したものだとする一方、ロシアの関与について、深い疑念を抱いていることを強調したものと指摘している。

政府は、原因究明と被害者の支援に積極的な姿勢を示しはじめている。7月、バーンズ長官は、原因究明のためのタスクフォースの責任者に、オサマ・ビンラディンの追跡で指導的役割を果たしたCIA高官を指名した。

また、ハバナシンドロームに関連して脳に損傷を受けた職員に対して、先月、超党派の支持のもと、追加の経済的支援を提供する法案「ハバナ法」が議会を通過。バイデン大統領が署名した。

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