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Tesla(TSLA)・SpaceX(SPCX)合併「実現する」――キャシー・ウッド、年内発表説を支持

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rocket and car
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ARK Investの創業者兼CEO、キャシー・ウッド氏は、9月29日に配信された「Moonshots」のパネルディスカッションで、テスラ(TSLA)とSpaceX(SPCX)の合併について「実現する(It’s going to happen)」と予測した。

テスラはARK全体で最大の保有銘柄で、SpaceXも第2位の主要保有銘柄だ。10月2日付の保有データでは、6本のアクティブETF合計でテスラが約11.9億ドル、SpaceXが約8.8億ドルとなり、両社で純資産全体の約12.8%を占める。

「年内発表」に同意

ウッド氏は、ARKチームが以前示した「年内に合併が発表される可能性」という見解について問われ、「実現すると思う」と答えた。

一方、中国と米国防総省との関係が合併の障害になりうるとの指摘については、ウッド氏もそれを認めつつ、そのうえで、イーロン・マスク氏は「あらゆる手を尽くしている(working all angles)」と語った。

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「立ちはだかる障害の一つですが、トランプ大統領や習近平氏と同じテーブルに着いている彼の姿を見るのは、実に興味深い。それに、メイ・マスク(イーロンの母)が中国で非常に愛されていることも周知の事実ですし、彼はあらゆる方面からアプローチしている。中国でロボタクシー・システムを開発できるのではないかという話さえ出ている。非常に興味深い展開だ」

9月24日の米中首脳会談後に開かれたホワイトハウスの国賓晩餐会では、マスク氏が主賓席に着席した。同席したのはトランプ大統領、習近平国家主席、両国のファーストレディーのほか、エヌビディアのジェンスン・フアンCEO、AMDのリサ・スーCEO、アップルのティム・クック氏らだった。

ウッド氏は、この席次も米中関係をめぐるマスク氏の「働きかけ」の一環とみている。

「『敵を近くに置く』ことこそ、今週の動きの核心にある考え方だと思う。私は楽観的な人間だが、AIや広範な技術革命から生まれる生産性の向上はあまりにも巨大なものになると信じている。それによって、中国と米国の双方にとって『三方よし(win-win-win)』のような結果をもたらすことができるかもしれない。(中略)トランプ氏とマスク氏が協力して取り組んでいるのは、まさにそういうことなのだと思う」

彼女によれば、中国はAIによる生産性向上を賃金に回すことで消費経済を「真に拡大」できる一方、米国は生産性向上を値下げにつなげ、インフレを抑えることができるという。

ただし、これはあくまでウッド氏の楽観的な見方だ。実際に合併を実現するには、両社が抱える事業構造そのものが大きな課題になる。

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切り離しにくい中国と、米国の安全保障

Teslaは中国市場と生産網への依存度が高い。

上海工場は中国国内販売だけでなく、欧州などへの輸出も担う主要生産拠点だ。2026年第2四半期には、上海工場のwholesale(中国国内販売と輸出の合計)が25万4551台に達し、テスラ全体の納車台数48万126台の約53%を占めた。売上高でも、中国は2025年のテスラ全体売上高の約22%を占めている。

上海工場を含む中国事業の処理は、単に中国での販売をどうするかという問題ではなく、生産、輸出、売上高を含むテスラ全体の供給網に影響する可能性がある。

一方、SpaceXは米政府との結びつきが強い。

同社の目論見書によれば、2025年売上高の20.9%を単一の大口顧客が占めた。SpaceXはNASAや国防総省を主要顧客とし、国家安全保障に関わる宇宙・防衛関連事業を抱えている。6月のIPOでは、引受会社が中国本土と香港の投資家からの注文を受け付けないよう指示されたとBloombergが報じた。背景には、重要技術の輸出規制やコンプライアンス上の懸念があるとされる。

Teslaは中国から切り離しにくく、SpaceXは米国の安全保障から切り離しにくい。合併の難しさは、この両社の地政学的な立ち位置の違いにある。

さらに、マスク氏自身の政府業務への関与も状況を複雑にする可能性がある。

国防総省のピート・ヘグセス長官は9月30日、将来の戦争のあり方を検討する「プロジェクト・メリディアン」の共同リーダーに、マスク氏、アンドゥリルのパーマー・ラッキー氏、元下院議長のニュート・ギングリッチ氏が就任すると発表した。

なお、7月にはテスラの中国事業を分離する可能性があるとWSJが報じたが、マスク氏はこれを「ばかげたフェイクニュース(Absurdly fake news)」と否定している。

ARKは「資産の切り分け」で対応可能とみる

ARK側は、合併を単純に「実現すべき」と考えているわけではない。

8月のポッドキャスト「The Brainstorm」で、ARKのチーフ・フューチャリスト、ブレット・ウィントン氏は、SpaceXとテスラの株主双方にとって「統合した方が差し引きでプラスになる(net better off)」と述べた。

ただし、前提となるのは、双方の株主に公正な価値を届ける仕組みだ。ウィントン氏は、SpaceXがテスラ株に対してどれだけのプレミアムを支払うのかが焦点になると指摘した。中国問題については、資産を切り分けることで対応できる「小さなしわ(small-ish wrinkle)」との認識を示している。彼らの見立てでは、合併発表は年内、実際の完了は来年以降になる可能性がある。

つまりARKの見解は、株主双方が損をしない対価設定と、中国事業などの切り分けが可能なら、統合によるメリットは大きいという条件付きの見方だ。

マスク氏に近い投資家からも支持

合併を支持する声は、マスク氏に近い投資家を中心にARKの外にも広がっている。著名アナリストのダン・アイブス氏、テスラの長期株主であるロス・ガーバー氏、チャマス・パリハピティヤ氏らが支持を表明している。パリハピティヤ氏は、合併が実現すれば「現代のバークシャー・ハサウェイ」が誕生すると述べている。

SpaceXの大株主であるロン・バロン氏も、9月16日のCNBCインタビューで、マスク氏に合併の賛否両論を私的に伝えたことを明かしつつ、「あなたがより良いと判断するなら、私はそれを支持する」と語った。バロン・キャピタルは6月末時点で、約250億ドルのSpaceX株と50億ドル超のテスラ株を保有している。

マスク氏自身は何を語ったか

では、当事者であるマスク氏は何を語っているのか。

テスラの第2四半期決算説明会で合併について問われたマスク氏は、両社の重なりが「ますます増えている」と述べ、例としてTerafabを挙げた。ただし、決算説明会で議論する話題ではないとして、回答を法務責任者に譲った。

9月14日の「All-In Summit」では、両社が多くの領域で緊密に連携していることを説明したうえで、「どんな判断がなされるか誰にも分からない」と発言した。

合併を否定したわけではないが、具体的な計画を語ったこともない。

それでも市場の期待は高まっている。予測市場Kalshiは10月1日、2028年以前にテスラとSpaceXが合併する確率が80%に達し、過去最高を更新したと発表した。