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OpenAIのIPOはいつ?アルトマンCEO「資金調達はまだ容易」

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OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOが、上場(IPO)に向けた準備状況について前向きな見通しを示した。10月5日に配信された米政治メディアPOLITICOの番組「Decoded」で、アルトマン氏は「安全面でも、そして財務面では間違いなく、準備は整っていると見込んでいる」と述べた。ただし、具体的な上場時期には触れていない。

OpenAIの上場時期は、同社と巨額の計算資源契約を結ぶ米オラクル(ORCL)や、累計646億ドルを出資するソフトバンクグループにとっても無関係ではない。OpenAIがいつ、どの形で資金を調達するかは、オラクルが抱える6,640億ドルの受注残(RPO)の質を左右する変数になりつつある。

「今年はない」から3週間

アルトマン氏は9月12日、米経済誌Fortuneのインタビューで「2026年ではない、と言っておこう」と述べ、年内の上場を否定していた。理由に挙げたのはAIの安全性だ。「安全性をめぐって起きていることを考えれば、今は上場するには賢明でない時期だと思う。上場へのプレッシャーも感じていない」。

今回の番組では、上場をさらに先送りする可能性を問われた。アルトマン氏は「安全性の実績をいくつか積み、この新しい体制でうまくやれると確認できたとき」と条件を付け、予測できない市場の変化で考え直す余地も残した。そのうえで「安全面でも、財務面では間違いなく、準備は整っていると見込んでいる」と答えた。

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「資金調達はまだ容易」

番組では、OpenAIが2030年までに計算資源へ約7,500億ドル(約118.5兆円)を投じる計画だとする米ウォール・ストリート・ジャーナルの報道や、OpenAIがオラクルなどにとって信用リスクと見られている点も話題になった。この7,500億ドルは、年初に報じられた約6,000億ドルの計画から約25%増額された水準だ。

資金繰りがコストを押し上げているのではないかとの問いに対し、アルトマン氏は「コストを押し上げているのは、金融市場よりもサプライチェーンだ」と答えた。「資金調達はまだ容易に思える。ずっと逼迫しているのはシリコンウェハーのほうだ」と述べ、コスト上昇の主因は資金面ではなく、シリコンウェハーなど半導体の供給側にあるとの認識を示した。

一方、英紙フィナンシャル・タイムズは9月15日、OpenAIが上場前に新たな民間資金調達を協議していると報じた。評価額は約1兆2,000億ドルとされるが、協議は初期段階で、評価額は今後の交渉で変わりうるという。協議は投資家側から持ちかけたもので、OpenAIはコメントを控えた。その後、ブルームバーグは9月29日、OpenAIが少なくとも300億ドルを評価額約1兆4,000億ドルで調達する方向で協議していると報じた。OpenAIは3月に1,220億ドルの資金調達を完了しており、当時の評価額は8,520億ドルだった。

もしIPO前の大型調達が実現すれば、OpenAIが短期的に株式市場での資金調達に頼る必要性は低下する可能性がある。その一方で、民間市場での評価額がさらに上がれば、最終的なIPOで投資家がリターンを得るために必要な上場評価額も引き上げられる。上場の先送りは、資金繰りの猶予とIPOのハードル高騰を同時にもたらしうる。

オラクルへの影響

アルトマン氏の「資金調達はまだ容易」という見方は、市場の一部の見立てと対照的だ。

オラクルが9月11日に米証券取引委員会(SEC)へ提出した四半期報告書(10-Q)によると、8月末時点の残存履行義務(RPO、契約済みで未計上の売上)は6,640億ドル(約104.9兆円)にのぼる。ただし、今後12カ月で売上に計上される見込みは約13%にとどまる。37%が13〜36カ月後、34%が37〜60カ月後で、残りはそれ以降だ。巨額の受注残が、短期的な収益に直結するわけではない。

同社が9月10日に発表した決算では、四半期のフリーキャッシュフローは50億ドル(約7,900億円)のマイナスだった。株式の追加売り出し(ATMプログラム)で200億ドル(約3兆1,600億円)を調達したことも明らかにしている。

この10-QにOpenAIの名前は出てこない。だが、格付け会社のS&Pグローバルは、OpenAIをオラクルの「主要な信用リスク」と位置づけている。

S&Pは7月9日に公表したリポートで、オラクルの長期発行体格付けを「BBB」から「BBB-」へ1ノッチ引き下げた。短期格付けも「A-2」から「A-3」へ引き下げ、見通しは「安定的」とした。理由に挙げたのは、AIインフラ事業の拡大に伴う事業リスクの上昇と、キャッシュフローの悪化だ。S&Pの推計では、5月末時点で6,380億ドル(約100.8兆円)だったRPOのおよそ半分をOpenAIが占める。S&Pは、OpenAIが契約上の支払いを果たし、外部から資金を調達できるかどうかは、AIへの追い風が続き、同社のモデルが市場をリードし続けることにかかっていると指摘する。そのうえで、OpenAIが支払えなくなれば、オラクルは抜け出せない可能性のある巨額のデータセンターのリース契約を抱えるか、より不利な条件で別の借り手に貸し直すことになりかねないとした。2027年度(2027年5月期)のフリー営業キャッシュフローの赤字は、420億ドル(約6.6兆円)近くに拡大すると予想している。

市場からも同様の指摘が出ている。米フリーダム・キャピタル・マーケッツのテクノロジー調査責任者、ポール・ミークス氏は9月10日、Benzingaに対し、オラクルのRPOの「約50%はOpenAIだ」と指摘した。その上で、OpenAIが「株式を調達して請求書を支払うためにIPOを必要としている」とし、「その最大の請求書」がオラクルだと述べた。

OpenAIの上場時期と資金調達力は、オラクルが抱える巨額のRPOが「将来の確かな収益」なのか、「信用リスクを伴う長期契約」なのかを試す材料になりつつある。

ソフトバンクグループも外部資金で

ソフトバンクグループは10月1日、OpenAIへの最終となる100億ドル(約1兆5,800億円)の払い込みを実行したと発表した。2月に発表した300億ドルの追加出資が、これで完了した。傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンド2を通じ、4月、7月、10月の3回に分けて100億ドルずつ払い込んだ。累計の出資額は646億ドル(約10.2兆円)で、持分は約13%になった。

最終回の100億ドルは、9月24日に発表したドル建て・ユーロ建ての総額111億ドル(約1兆7,500億円)の社債発行で賄われた。いずれも投機的等級の社債だ。ソフトバンクグループ自身も、OpenAIへの巨額投資を外部資金で支える構造を選んでいる。

次の注目点

アルトマン氏は上場の前提として「安全性の実績」を挙げた。番組では、AIモデルが起こした事案について、さらに開示を進めていることも明かしている。

一方、競合のアンソロピック(Anthropic)は上場準備を先に進めている。ブルームバーグは10月1日、同社が11月9日の週に投資家向けの説明(ロードショー)を始め、11月中旬の上場をめざしていると報じた。9月時点では中間選挙前の上場がめざされていると伝えられていたが、日程は後ろにずれた形だ。計画どおり進めば、AI大手の上場レースでOpenAIは先を越されることになる。

オラクルの次の決算で、RPOとキャッシュフローがどう動くか。OpenAIのIPO前調達が実現するか。そして上場時期がいつになるか。AIインフラ投資の資金循環を占ううえで、この三点が今後の注目点になる。