ブラックライブズマター運動創始者の従兄弟 逮捕後に死亡、拘束時にテーザー銃

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カリフォルニア州ロサンゼルスで、男性が警官に拘束された後、心停止となり死亡した件で、ロサンゼルス市警察は拘束時のボディカメラの映像を公開した。映像には、抵抗する男性に、警官が繰り返しテーザー銃を使用する様子が撮影されている。

死亡したキーナン・アンダーソン氏(31)はブラックライブズマター運動の創始者の1人、パトリース・カーン=カラーズ氏の従兄弟で、ワシントンD.Cの高校で英語教師を務めていた。家族に会いにロサンゼルスを訪れていたという。

警察の発表によると、今月3日、ベニスエリアで自動車の衝突事故が発生し、交通課の警官が対応にあたった。警官は、アンダーソン氏が道路の真ん中を走り、異常な行動をとっているのを発見。事故に巻き込まれた市民複数人が、アンダーソン氏の関与を示したことから、本人を呼び止め、飲酒運転の検査のために応援を要請した。アンダーソン氏は、警官の指示に従い座って言葉を交わしたが、他の警官らが到着すると、制止の命令を聞かずに、その場から逃げ出した。

警官はすぐに追いつき、車道に腹這いになるよう命令。複数人で取り押さえた。この間、アンダーソン氏は「やめてください」「私を殺そうとしている」「彼らが私にジョージフロイドをしようとしている」と繰り返し叫びながら、体の向きを変えようと抵抗。途中、取り押さえる警官の肘が首元を圧迫する可能性を心配した別の警官が、「肘に気をつけて」と声をかける様子も撮影されている。警官は「抵抗をやめないとテーザーをするぞ」と警告した後、6回にわたってテーザー銃を使用して服従させ、手錠をかけた。その後消防局の救急医療隊員が到着し、病院に搬送した。警察によると、サンタモニカの病院に搬送されたアンダーソン氏は、拘束から約4時間30分後、 心停止に陥り、死亡した。

ロサンゼルス市警察は、警官の武力行使に問題がなかったか調査に着手したとしている。

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ミシェル・ムーア警察署長は12日に開いた会見で、テーザー銃のレベルと回数を増すと、循環器に悪影響を与えうることが知られているとする一方、アンダーソン氏の死に何が影響したのか、現時点では判明していないと説明した。アンダーソン氏の言動は、パラノイアの兆候を示しており、ドラッグの使用やメンタルヘルスの問題を抱えていた可能性があるとも語った。

ブラックライブズマター運動の創始者、カラーズ氏は、デイリービーストの取材に、アンダーソン氏の家族は、映像を事前に確認しており、打ちひしがれ、うんざりした様子だったと説明。「どうしてこうなったんだ」「やりすぎだ」と口々に話したといい、カラーズ氏自身「トラウマになりそうで、見るに耐えない」と述べ、「命乞いをするような死に方は、誰もするべきではない」と、警官の対応を非難した。

ブラック・ライブズ・マター・グラスルーツ(BLMGR)のディレクターで同ロサンゼルス支部の共同創設者、メリーナ・アブドゥラ氏は、ガーディアンのインタビューに「警察暴力による結果だ」と主張。「警察は”殺害”とは言わず、”拘束死”と呼んでいるが、キーナンはテーザー銃で撃たれて死んだ。ロス市警がキーナンの死を引き起こしたことはわかっている」と話した。