解雇された社員が「無作法」と非難、伝説の編集長が絶対にサングラス外さないワケ

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映画『プラダを着た悪魔』のモデルといわれる高級ファッション誌「Vogue」の編集長アナ・ウィンター(Anna Wintour)(74)は、金髪のボブにサングラスがトレードマーク。

2018年にロンドンで開催されたファションウィークでは、故エリザベス女王と共にリチャード・クインのショーを最前列で鑑賞したが、女王の隣に着席している時でさえ、サングラスを外すことはなかった。その独特なスタイルが、ある出来事をきっかけにネットで話題となっている。

解雇通知受けた社員が暴露

音楽の批評サイト「ピッチフォーク」(Pitchfork)の社員らは今週、大手出版社コンデナストのアーティスティック・ディレクターを務めるウィンターから解雇を通知された。

元ピッチフォークのライター、アリソン・ハッセー氏は19日、今週起きた「非常に奇妙な」出来事として、ウィンター氏が解雇を言い渡す間、一度もサングラスを外さなかったとXに投稿。「われわれが目の当たりにした上層部の無作法ぶりは最悪」と非難した。

コンデナストは2015年にピッチフォークを買収。今回の人員整理は、事業の合理化の一環で行われたもので、男性誌GQに吸収するものと伝えられている。編集長のプジャ・パテル氏や特集担当のジル・メイプス氏など、約半数のスタッフが解雇を告げられたという。

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ピッチフォークの労働組合とニューヨークのニュース・ギルドは共同で、コンデナストの対応は「企業に貢献した従業員に対する敬意の欠如」と非難声明を発表した。組合側の説明では、人員整理に関する協議の場が何度か設けられたが、解雇は行わないとされていた。今回の解雇はこれまでの説明と食い違うとして、同社の「経営陣は信頼できない」と批判した。

サングラスを外さない理由

アナ・ウィンター
©MashupReporter

ウィンター氏はニューヨーク・マガジンやハウス・アンド・ガーデンの編集を経て、1985年に英Vogueの編集長に就任した。1988年からVogueの編集長を務め、2013年にはコンデナスト社のアーティスティックディレクターに就任している。

生き馬の目を抜く変化の激しいファッション業界で35年以上編集長の座に就く伝説のエディターにとって、サングラスは「自分の一部」だという。

2009年放送の「60 Minutes」のインタビューでは、ショーの合間に「退屈していても、誰も気づかないでしょう」と述べるなど、「アーマー」としての役割を果たしていると語っていた。

2019年にはCNNで、「何を考えているか人に知られることを回避するには、信じられないほど便利」「ちょっと疲れたり、眠くなったりした時にも助けになる。(松葉杖に例え)私が誰であるかを示すものの一部となっている」とも語っていた。

解雇を告げた時の心境はどのようなものだったのだろうか。バラエティのトッド・スパングラー氏は「ファッション上の意図したものなのか、従業員から視線をそらす目的なのかは不明」としている。

▼サングラスを外したウィンター氏

アナウィンター
©MashupReporter