NY市 アフォーダブルハウジング応募要件を緩和。不法移民の応募も可能に

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NYC skyscrapers
Askolds Berovskis / Shutterstock.com

ニューヨーク市のビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長は21日、市の助成で運営される市場価格よりも安い住宅「アフォーダブル・ハウジング」(affordable housing)への応募要件を緩和すると発表した

今後は、ソーシャル・セキュリティ(Social Security)や納税者番号(TIN)などは不要となり、12カ月間の家賃支払い履歴を示す書類のみで抽選への応募が可能となる。

不法滞在者の多くは、ソーシャル・セキュリティやTINを所有していない。これらの要件が廃止されたことで、抽選への応募が容易となる。

デブラシオ市長は声明で「長きにわたり、信用のない家族はアフォーダブル・ハウジングに応募するための障壁があった。信用調査に代わり、家賃の支払い記録を提出することを許可することで、すべての市民にとって、より公平なシステムを作ることができる。」と述べた。

トランプ政権の移民政策が背景に

トランプ政権は、市民以外の公的扶助(パブリック・チャージ)の利用を制限するため、医療補助のメディケイドや住宅補助、食料補助のフードスタンプなどを受給した人々に対し、永住権やビザ発給を取りやめる方針を発表するなど、移民に厳しい政策を進めている。
デブラシオ政権は、今回の要件緩和は、これらの政策に対抗する目的があるとNY1に語っている。

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またクレジット・ヒストリーなどの信用調査には、人種間格差があるとして、現在クレジット・レポートの提出を不要とすることも検討されている。

現在、市は2026年までに30万戸のアフォーダブル・ハウジングを提供する目標を掲げている。ニューヨーク市長室移民事務局のBitta Mostofi氏は、現在1戸の募集につき500件の応募があるとし、「ニューヨークに滞在する50万人の不法移民も、今後応募に参加できる。」と述べた。

保守派からは反対の声も

保守派のシンクタンク「マンハッタン・インスティチュート」(Manhattan Institute)のHoward Husock副社長は、「クレジットスコアは、期日までに支払いが済まされているかを判断するものだ。」として、家主が家を貸し出す条件として、良いクレジットスコアが必要だとNY1に述べた。

「もしこの要件が取り除かれるのであれば、われわれは開発事業者に市のパブリック・ハウジング・プログラムに参加しないよう勧めるつもりだ。」と語った。さらに、「合法的な移民プロセスを経て抽選を待つ人々にとって、今回の政策変更は不公平である。」と非難している。