6月最終週の政府契約新規発注額でも、パランティアが上位に入った。国境の壁建設(13億ドル)やVAの民間医療委託(17億ドル)といった大型案件が並ぶ中、パランティアは6番目(4,584万ドル)。発注元はICE(米国移民・関税執行局)、対象はHSI(国土安全保障捜査局)——移民密輸、人身売買、麻薬犯罪を扱う捜査部門——向けのケース管理と分析基盤で、契約期間は1年、BPAコール(包括購買契約に基づく個別発注)での執行となる。
注目すべきは調達の記載だ。形式上は「完全競争」と分類されている一方で、競争機会の欄には「ONLY ONE SOURCE(唯一の供給源)」と明記されている。これは、既存システムとの互換性やデータ移行コストの高さなどを理由に、実質的に他社の参入が困難と判断された場合に用いられる表現だ。つまり手続き上は競争入札でも、実態は単独ベンダーに依存した発注に近い。
さらに「CRITICAL FUNCTIONS(重要機能)」——本来、政府職員が担うべき中核業務を外部委託する際に付与される分類——も記されている。
なぜ「唯一」になるのか。その背景は長期的な関係にある。
ICEとパランティアの契約は2011年に始まった。初回はHSI職員向けソフトウェアとサポートで672万ドル。その後「FALCON」として捜査ケース管理システムを展開し、2013年にO&M契約(1,208万ドル)、2014年にはウェブベースのICM(Investigative Case Management)として5,168万ドルへ拡大した。さらに2022年には同システムのO&Mとして1億5,070万ドルの大型契約を受注している。
15年間で12件、累計4億3,585万ドル。ICEの捜査データ基盤はこの間にパランティアのプラットフォーム上へと統合されてきた。捜査官のワークフロー、過去の事件データ、分析モデルが同一基盤に蓄積される構造の中で、他社への切り替えは技術的にもコスト的にも困難になる。調達文書における「唯一の供給源」は、その帰結といえる。
政府インフラに不可欠な存在へ
今年4月にはHSIとは別に、ICEの「送還業務近代化」(ERO)として8,627万ドルが発注されている。今回のHSI向けと合わせると、2026年だけでICEからの発注は1億3,212万ドルに達する。
先週(6月18日)には農務省がパランティアにフードスタンプ(SNAP)の不正検知プラットフォームとして2,792万ドルを発注した。移民犯罪の捜査基盤と、食料支援受給者のデータ管理——2週連続で、性質の異なる「政府の中核業務」がパランティアに委ねられた。同社のDHS累計受注額はすでに4億6,321万ドルに達している。
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