水曜日, 6月 24, 2026
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戦場からフードスタンプへ──パランティアが入り込む米政府の基盤

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6月18日、農務省(USDA)はデータ分析企業 Palantir Technologies に対し、SNAP(補足的栄養支援プログラム、通称フードスタンプ)関連で2件、総額約2,800万ドルの契約を発注した。

内訳は、SNAP不正検知のパイロットプログラム(25万ドル)と、SNAPを安全に運用するソフトウェアネットワーク「Starlight」(2,792万ドル)である。SNAPは月平均約4,200万人が利用し、連邦政府が年間1,000億ドル超を支出する米国最大の食料支援制度だ。今回の契約により、同社はそのデータ基盤の運営に本格的に関与し始めたことになる。

契約仕様書から具体的な機能までは読み取れない。ただし、トランプ政権下で農務省が進める給付監視強化の流れと重なっている点は注目される。

昨年、農務省が州政府に求めるSNAP申請者データの範囲を大幅に拡大する計画が報じられた。従来の基本情報に加え、世帯構成員、社会保障番号、移民ステータス、市民権の有無、学歴、就業状況、婚姻状況など広範な情報が対象に含まれるとされた。農務省は受給資格の検証や不正防止を理由に挙げたが、市民団体や州政府からは、既存の管理制度を超える過剰なデータ要求であり、プライバシー保護上の問題があるとの批判も上がった。

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背景には、近年悪化しているSNAPの支払いエラー率がある。議会調査局によると、受給者不正や事務処理ミスなどを含む支払いエラー率は、FY2018の6.8%からFY2023には11.7%へ上昇した。過払い額は年間107億ドルを超えている。

農務省への浸透──口蹄疫から職員監視、そしてSNAPへ

もっとも、農務省とパランティアの関係は今回が初めてではない。

最初の契約は2017年。動植物検疫局(APHIS)が口蹄疫などの病原体ゲノム分析ツールとして同社製品を導入した案件(681万ドル)だった。その後も2022〜23年にかけてゲノム解析ライセンスの拡張契約(1,345万ドル)を受注し、食料安全保障分野で存在感を高めてきた。

転機となったのは2026年春である。

4月、農務省は農地管理や農業関連ITシステムの統合を目的とする大型案件(9,468万ドル)を発注した。さらに同月、USDA職員のオフィス復帰状況を追跡・可視化するシステムの設計・展開でも391万ドルの契約を獲得している。

それに今回のSNAP案件が加わった。

職員の勤務データ、農地や農業システムの管理データ、そしてフードスタンプ受給者のデータ──性質の異なる情報基盤が、同じベンダーのプラットフォーム上に集約されつつある。

農務省に限った累計契約額は、すでに約1億4,700万ドルに達している。

47億ドルで広がる政府インフラ

農務省で起きている変化は、より大きな流れの一部にすぎない。

公開されている政府契約データを集計すると、パランティアが2008年以降に獲得した連邦政府契約の累計額は約47億ドルに達する。契約先の省庁数は当初の2省庁(国防総省・司法省)から現在では9省庁へ拡大した。

依然として国防総省が契約総額の約59%を占めるものの、残り41%の構成は大きく変化している。

国土安全保障省(ICE・シークレットサービス)が9.9%、保健福祉省(NIH・FDA・CDC)が8.7%、財務省およびIRSが4.2%、農務省が3.1%。戦場データの統合から始まった同社の技術は、移民執行、税務分析、公衆衛生、農地管理、そしてフードスタンプ制度へと広がっている。

こうした拡張は業績にも表れている。2026年第1四半期、パランティアの米国政府向け売上高は前年同期比84%増の6億8,700万ドルに達した。CEOのアレックス・カープは「Rule of 40スコア145%」を強調し、同社をAIインフラ企業として位置付けている。

パランティアは長らく「軍のためのソフトウェア企業」と認識されてきた。しかし政府契約データを追うと、現在進行している変化はそれよりも大きい。戦場で培われたデータ統合基盤は、税務、医療、農地管理、給付行政へと広がっている。今回のSNAP契約は、その技術が国家の周縁ではなく、市民生活の中枢へと入り込みつつあることを示している。

議員のPalantir株取引動向はcapitolowl.comで追跡中。