共和党惨敗でホワイトハウスに亀裂? 内部からトランプ批判の声

5
DT phots1 / Shutterstock.com

4日に実施されたニュージャージ州とバージニア州の知事選、ニューヨーク市長選など主要選挙での共和党の惨敗をめぐり、政権内部からトランプに対する不満の声が漏れはじめている。

ポリティコによると、ホワイトハウスのある側近は、「国民は彼が公約を果たしていないと考えている」と敗因を分析。「物価を下げて、人々の懐にお金が戻るようにすると約束して当選したのだ。人々はそれを実感していない」と語った。

別の人物は、「大統領はここ数ヶ月間、生活費について一度も語っていない」と指摘し、「人々は経済的に苦しんでおり、ホワイトハウスがこの問題に可能な限り早急に目を向けて解決しようとしていることを知りたがっている」と政権の姿勢を咎めた。

このほかに「外交政策ばかりに重点を置いたことの当然の結果だ」といった非難も内部から飛び出している。

右派インフルエンサーの一部も警鐘を鳴らした。

Advertisement

トランプを早期から支持しているマイク・サーノヴィッチはSNS『X』の投稿で、「トランプは一年のほとんどを中東に費やし、大口献金者を喜ばせたが、有権者はそうではなかった」と批判。「バージニア州は民主党が圧倒的多数を占めることになるだろう」と続け、外交タカ派のメディアパーソナリティに耳を傾け続けるようならば、「2026年に3度目の弾劾裁判にかけられることになる」と警告した。

4日の選挙では、民主党が各地で快勝を収めた。ヴァージニア州で元下院議員アビゲイル・スパンバーガーが歴史的な強さで勝利を飾り、ニュージャージー州では元海軍パイロットのミキー・シェリルがトランプ支持の共和党候補を寄せ付けなかった。ニューヨーク市長選でも民主社会主義を自認するゾーラン・マムダニが当選し、クオモ前知事(無所属、トランプ支持)を破った。さらにカリフォルニア州では、民主党に有利になるよう選挙区の再編を承認する住民投票が賛成多数で可決された。これらの結果は、生活費高騰など経済課題を重視する有権者の支持を集め、民主党が党勢を盛り返していることを示している。

一方、トランプ責任論に真っ向から対立するのが、MAGA運動の思想的支柱ともされるスティーブ・バノンだ。

トランプ第1期政権で首席戦略官を務めた彼は、保守派のコメンテーター、エリック・ボーリングのYouTube番組で、問題は候補者や党がトランプを巻き込まなかった結果だと主張した。

バノンによれば、共和党の主流派は基本的にトランプ嫌いで、いまだにトランプを一過性の”嵐”としか認識していない。「今回目にしているのは、トランプ抜きの共和党だ」と語り、トランプ抜きで政治に関心の低い層や情報に乏しい有権者など幅広い層を投票所へ呼び出せると思うのは「幻想に過ぎない」と喝破した。

さらに彼は、「もっと強硬なトランプが必要だ」と加え、これまでも窮地を救ったやり方と同様に「飾り気なしでトランプ流MAGAを貫く」必要があると訴えた。