イーロン・マスク=クリプトナイト?人気急落に専門家が厳しい評価

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Willrow Hood/shutterstock

米テスラのCEO、イーロン・マスク氏に対する米国民の支持が大きく低下している。

米CNNのデータアナリスト、ハリー・エンタン氏は22日、調査会社Ipsosの最新世論調査を紹介し、「マスク氏は国民に極めて不人気な存在となっている」と述べた。

調査結果によると、2017年に+24ポイントだったマスク氏の好感度は、現在はー19ポイントまで下落。特に民主党支持層の間では、+35ポイントからー91ポイントへと急落しており、マスク氏に対する評価の大幅な変化が明らかになった。

エンタン氏は、「これ以上悪くなりようがない。まあ、-100ポイントまで下がる可能性はあるが」と語り、「彼は政治的クリプトナイトだ」と厳しい評価を下した。クリプトナイトはスーパーマンを弱体化させる架空の鉱石で、比喩として、関わると支持や評判を損なう有害な存在を指す。

2024年の選挙では2億9,000万ドル以上の私財を投じてトランプ氏の勝利に大きく貢献したマスク氏だが、その影響力に陰りが見え始めている。

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今年4月に行われたウィスコンシン州の最高裁判事選挙では、マスク氏は100万ドルを提供し保守派候補を強力に支持したが、リベラル派候補に10ポイント差で敗北を喫した。政府効率化の取り組みへの関与は、その方法をめぐって厳しい批判にさらされた。

トランプ氏との関係も変化がささやかれている。ポリティコによると、トランプ氏がSNSでマスク氏に言及する回数は、2〜3月には週平均4回だったが、4月以降はゼロになった。大統領顧問やホワイトハウスの公式アカウントも、マスク氏に言及するコンテンツの投稿をほぼ停止している。政権発足当初に見られた蜜月ぶりは、消え去ろうとしている。

マスク氏個人への評価は、彼が経営する企業のブランドイメージにも影を落としている。

米AxiosとHarris Pollが実施した企業レピュテーション調査(米国企業100社)によれば、テスラの順位は、Xを買収する前の2021年の8位から今年は95位に大きく後退。スペースXも5位から85位へと順位を落とした。

自動車メーカーの中では、トヨタが4位で最上位にランクインし、ホンダ(8位)、GM(44位)、現代(51位)、フォルクスワーゲン(53位)、フォード(60位)と続いた。テスラの相対的評価の低下が鮮明となっている。