アジア系女性メッタ刺し事件、親族がニューヨーク市警察を提訴

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韓国系アメリカ人の女性がチャイナタウンにあるアパートで、メッタ刺しにされ殺された事件に関連し、親族がニューヨーク市警察を提訴した。

FOXニュースによると、被害者の叔母が遺産管理人として訴えたもので、訴状では「命の危険が差し迫っていると信じるに足る理由があったにもかかわらず、アパートに入ることも、命を救えた可能性のある警察または医療支援もしなかった」と主張。損害賠償を求めている。

昨年2月13日の未明、タクシーで帰宅したクリスティナ・ヨナ・リーさん(35)は、アパート6階にある部屋で、首や胴体など40箇所以上を刺され死亡した。殺人罪で起訴されたのはホームレスだったアサマド・ナッシュ被告(25)。警察が部屋に押し入った際、ベッドの下に隠れていた。

建物の監視カメラには、ナッシュ被告がリーさんの後を追って建物内に侵入、階段を上がるリーさんの背後をつける様子が撮影されていた。

午前4時23分。リーさんの後から建物に侵入するナッシュ被告↓

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原告側の説明では、リーさんは少なくとも5分間助けを求めて叫んだ。この間、近隣住民が通報し、3ブロックほど離れた警察署の警官2人が到着。警官らも助けを求める声を聞いたが、中に入ることができなかった。叫び声は突然止んだが、警官らは室内に入るどころか、ドア越しにナッシュ被告と会話さえしていた。

追加で7人の警官が到着したのは、通報から1時間以上が経過した5時30分で、特別部隊がドアを押し破ったのは、5時40分のことだった。

なお事件の翌日に開かれた審理で、検察は、叫び声が途切れた後、ナッシュ被告が女性の声を真似て「警察は必要ない、あっちに行け」とドア越しに話したと説明している。

訴状では、事件の4ヶ月前にアパートの向かい側にある公園で、デリバリーワーカーが刺殺された事件にも言及。「不十分なフェンスと夜間照明」など、「重大な公共の安全の問題を認識していたにも関わらず管理を怠った」とし、「被告は意図的かつ無謀、不注意により、原告の権利と私的利益を著しく害した」と主張している。

ナッシュ被告には、2021年3月以降8回の逮捕歴があった。同事件では殺人、強盗、性的動機に元づく強盗の罪で起訴されているが、これまでのところ無罪を主張している。