ウッドストック50周年記念フェスティバル中止へ

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伝説の野外音楽フェスティバル「ウッドストック」の50周年を記念し、8月中旬に開催を予定していた「Woodstock 50」正式に中止された。31日、バラエティなどが報じた。出資者の撤退や会場の変更、有名アーティストの出演中止により、実施は困難な状況となった。

当初のフェスティバルの主催者の一人で、共同創設者のマイケル・ラング(Michael Lang)氏は声明で「一連の不測の事態により、われわれが思い描くフェスティバルの開催が不可能となったことを残念に思っている。」と語った。

ウッドストックとは?

1969年8月16日から18日まで開催された野外ロックフェスティバル。ニューヨーク州のベセル(Bethel)で開催されたコンサートには、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)や、ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)、サンタナ(Santana)などが出演。愛と平和、反戦をテーマに大勢の若者が集い、ヒッピー時代を代表するフェスティバルとなった。

中止の経緯は?

今年1月「ウッドストック50」の開催が発表された。50年前と同じ日程、8月16日から18日まで、ニューヨーク州ワトキンズグレン(Watkins Glen)での実施を予定していた。

ウッドストック・フェスティバルはこれまでにも複数回開催されている。1994年には、悪天候と過剰な集客による混乱が生じ、「マッドストック」と揶揄された。1999年には、性的暴行事件や暴動の発生、チケット価格の高騰などイベントへの悪評が高まっていた。
NYタイムズによると、昨今は音楽フェスティバルが多数開催されており、ジェネレーションZに「ウッドストック」のブランドが響くか、当初から開催について懐疑的な人々もいたという。

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ロンドンに拠点を置く電通イージス・ネットワーク社(Dentsu Aegis Network Ltd.)の出資を受け、主催団体はジェイ・Z(Jay-Z)やマイリー・サイラス(Miley Cyrus)、ザ・キラーズ(the Killers)、サンタナ(Santana)、デッド・アンド・カンパニー(Dead & Company)、ジョン・フォガティ(John Fogerty)など80アーティストのブッキングを行った。団体はアーティストに3,200万ドル(約34億円)の報酬を支払ったという。

当初4月に予定していたチケット発売開始日は、「物流計画の改善」を理由に延期された。詐欺事件にも発展した第2のファイア・フェスティバル(FYRE Festival)になるのではと憶測も出始めた。

4月29日、電通イージス・ネットワークは「アーティスト、パートナー、参加者の健康と安全を確保し、ウッドストトックの名にふさわしいフェスティバルの開催は困難」として、中止を発表。
その直後、ラング氏らは電通にフェスティバルを中止させる権限はないとして、中止を否定した。ラング氏と主催団体は5月、口頭かつ経済面でイベントへの妨害行為を行ったとして、口座から引き出された資金の返金などを求め、ニューヨーク州地方裁判所で電通イージスを提訴した。
その後もイベントプロデュース会社のSuperflyが降板を決定するなど、混乱が続いていた。

先月25日ブルームバーグは、開催場所はニューヨーク州ではなく、メリーランド州コロンビアのメリウェザー・ポスト・パビリオン(Merriweather Post Pavilion)に変更されたことを報じていた。観客動員人数の予測は、当初の15万人から3万人へと縮小された。

ウッドストック50の中止の発表は、ジェイ・Zやマイリー・サイラスなどの有名アーティストが参加を取りやめたと報じられた翌日に行われた。
当初の契約書によると、アーティストは当初の会場、ワトキンズグレン以外で開催されるフェスティバルへの参加を拒否することができたという。

別の記念イベントは開催

今回中止となった「ウッドストック50」とは別に、50周年を記念するイベントは、当初の場所、ベセルで8月15日から18日まで開催される。

当時パフォーマンスを行った(Arlo Guthrie)や、元ビートルズのリンゴ・スター(Ringo Starr)、カルロス・サンタナ(Carlos Santana)、ドゥービー・ブラザーズ (The Doobie Brothers) 、ジョン・フォガティ(John Fogerty)らが出演する予定だ。