米大使が証言 ウクライナ軍事支援に交換条件

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22日、大統領の弾劾調査を進める下院の3委員会で、ウィリアム・テイラー駐ウクライナ代理大使が証言を行なった。

テイラー氏は事前に準備した原稿で、米国からウクライナに対する政策決定と実行に関し、公式と非公式のチャネルがあったと説明。非公式チャネルには、カート・ヴォルカー米ウクライナ問題特別代表、ソンドランド駐EU大使、リック・ペリーエネルギー長官、大統領弁護士のジュリアーニ氏がいるとし、両チャネルの目的が異なることに次第に懸念が深まっていったと述べた。

「7月中旬には、ゼレンスキー大統領が希望する(トランプ氏との)会談は、ブリスマ社と、2016年米大統領選へのウクライナの関与についての調査と引き換えであることが明らかとなった」と、非公式チャネルの目的が、ウクライナ側の調査実施だったと説明。ブリスマ社は、バイデン前副大統領の息子ハンター氏が役員を務めていたウクライナのエネルギー企業。トランプ大統領は7月25日のゼレンスキー大統領との電話会談で、同社の汚職調査を進めていた検察官の解任を巡るバイデン親子の関わりについて、調査を望む意向を伝えていたことが明らかとなっている。

また、9月初旬の安全保障評議会のティム・モリソン氏との会話の中で、「ソンドランド大使がイェルマク氏(ゼレンスキー大統領のアドバイザー)に対して、ゼレンスキー大統領がブリスマ調査にコミットするまで、軍事支援金は拠出しないと伝えた」と、モリソン氏が語ったとし、この時、調査要求は、両首脳の会談ではなく、軍事支援の交換条件であることを初めて知ったと述べた。

加えて、ソンドランド氏がテイラー氏に対して、軍事支援を含むすべてが、ゼレンスキー大統領による調査の公式表明にかかっていると語ったことを明かした。

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一方、調査要求は軍事支援の交換条件ではないとするトランプ氏の主張については、ソンドランド氏から、トランプ大統領はビジネスマンだからだと説得を受けたことを明かした。ソンドランド氏は、ビジネスマンはチェックにサインする前に支払いを要求するものだと説明したという。テイラー氏は後日、同様の説明をヴォルカー氏からも受けたとしている。