富士宮3人死傷事故、米軍人の妻がバイデン大統領の介入求める

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昨年、富士宮市で事故を起こし3人を死傷させた米海軍の軍人の控訴審で、東京高裁は13日、禁錮3年の実刑判決を下した1審判決を支持し、控訴棄却を言い渡した。被告の妻は、CBSニュースのインタビューで、判決に「本当に怒っている」と不満を述べ、バイデン大統領による介入への期待を語った。

昨年5月、家族で富士山の登山に出かけた横須賀基地所属のリッジ・アルコニス(34)被告は、帰りの運転中に飲食店の駐車場に突っ込み、女性(85)と親族の男性(54)の2人を死亡させ、男性の妻(53)にけがを負わせた。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪に問われ、10月の1審判決で禁錮3年を言い渡された。静岡地裁の判事は、事故当時、被告は眠気を催していたにも関わらず、運転を中止すべき義務を怠ったと指摘。運転中に意識を失ったのは、富士山で高山病にかかったためとする弁護側の主張については、考えられないとした。

アルコニス被告の妻は、一連の判決について「私は本当に怒っている」と述べ、「過去60年間で、軍人に対する最もひどい対応だと聞いている」と話した。

米国の軍人が日本で犯罪をしても、米軍によって守られているという認識が日本国内にある点に話が及ぶと「主張は理解をしており、一定の真実があることも否定しない」と述べつつ、「過去数十年の間に間違いなく変化している」と、夫のケースはこれに当たらないとの考えを話した。

恩赦を得る別の道があるかと尋ねられると「もちろん」と回答。「バイデン大統領からの電話だ。電話を取って、彼は帰国すると告げる」と政府の介入に期待を示し、エマニュエル駐日大使が「彼(バイデン氏)の代わりに、恩赦を要求することも可能だ」と語った。

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アルコニス被告は7月25日に刑務所に出頭する予定だという。「彼が行く前に、娘の誕生日を家でお祝いできることを、大変感謝している」と涙をこらえながら話した。

米軍の準機関紙「STARS ANS STRIPES」は、在日米海軍司令部の報道官は、東京高裁の判決を「軽減事由となる証拠を考慮すると、非常に不相応」と批判的な見解を示したと伝えている。

アルコニス氏の家族のスポークスマンは、日本の捜査当局によるアルコニス被告の拘束は日米地位協定に違反していると主張しており、尋問をビデオで撮影しておらず、日本の法律にも反していると非難している。ただし同紙は、日本の刑事捜査では、尋問のビデオ記録は義務付けられていないと指摘している。

アルコニス被告の父デレク氏は、息子が今後14日以内に最高裁判所に上告を申し立てる意思があるか不明だと述べたという。

CBSのインタビューに対し、YouTubeのコメント欄では、被告の家族に同情を示す声が上がる一方で、「3年の刑で済んだことに感謝するべき」といった意見や、「この悲劇の本当の犠牲者に対する妻の共感の欠如は驚くべきほどだ」「殺害された罪のない日本人犠牲者について、彼女の話を聞きたかった」といった批判のコメントも寄せられている。また「アメリカ人は海外にいるとき、いつも別の正義を望んでいる」「米国市民が海外で法を破り、政府に介入して出してほしいと望むのはどういうことだろう」と、バイデン氏の介入を望むことへの疑問の声も上がっている。

なおアルコニス被告の友人は現在、change.orgのキャンペーンを立ち上げ、バイデン大統領に対応を求める署名集めを行なっている。ページでは、アルコニス被告は誤って有罪とされたと主張。公平な審理を受けておらず、数々の不正に耐えていると非難している。現時点で、4万3,000件を超える署名が集まっている。