環境活動家グレタ・トゥンベリさん、トランプ大統領に応戦

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23日、ニューヨークの国連本部で「国連気候行動サミット2019」(United Nations Climate Action Summit)が開催された。

温室効果ガス排出量の削減を目指す、各国の主導者や企業の重役たちを前に、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さん(16)は約5分間のスピーチを行った。

トゥンベリさんは、怒りをあらわにしながら、世界の政治家らを強く非難した。

「あなた達は空虚な言葉で私の夢を、子供時代を奪った。」と述べ、「人々は苦しみ、死んでいる。全てのエコシステムは崩壊に向かっている。絶滅が始まっているにも関わらず、あなた方が話すことは全てお金のことと、永遠に続く経済成長のおとぎ話のことのみ。一体どうしてそんなことが言えるのでしょう?」と時に言葉を詰まらせながら非難した。
「あなた方は、私たちの話に耳を傾け、緊急性について理解しているというが、私はどんなに悲しみ、怒っていてもそれを決して信じません。もし本当に状況を理解しているなら、なぜ行動に移さないのか。あなたたちは悪魔だ。私は信じることを拒否する。」と述べ、「裏切ることは許さない。」と具体的な行動を求めた。

パリ協定からの脱退を始め、気候変動対策に消極的な政策を進めるトランプ大統領は、この日会場に立ち寄ったが、わずか15分ほどで去った。

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トゥンベリさんの前をトランプ大統領が通り過ぎる様子が捉えられ、SNS上で話題となった。

同日夜、トランプ大統領はトゥンベリさんの動画を引用し「彼女は明るいそして素晴らしい未来を待ち望む、とってもハッピーな少女のようだ。お目にかかれてよかった!」とツイッターを投稿した。米複数メディアは、彼女をばかにした発言だと非難した。

翌日、トゥンベリさんはツイッターのプロフィールを「明るいそして素晴らしい未来を待ち望むハッピーな若い少女」と変更し、大統領に応戦した。

グレタ・トゥンベリさんとは

トゥンベリさんは、昨年8月から毎週金曜日に授業をボイコットし、議会前で抗議活動を始めた。「フライデーズ・フォー・フューチャー」(Fridays for Future)と名付けられたムーブメントは、多くの若者の共感を得てヨーロッパから全世界に拡大している。

トゥンベリさんは、国連で開催される気候サミットに参加するため昨月、ゼロエミッションのレーシングヨットで英国を出発。大西洋を横断し、ニューヨークに来米した。
ニューヨークでは国連前でストライキを行ったほか、オバマ前大統領と面談したり、米議会に参加して「私の言葉ではなく科学者に耳を傾けてほしい。」と証言を行っている。

20日には、ニューヨークやベルリン、ロンドン、メルボルン、メキシコシティ、東京など世界の約150都市で、学生や児童らが気候変動の対策を求めるデモ「グローバル気候ストライキ」(global climate strikes)を実施。トゥンベリさんが参加したニューヨークの集会では、約6万人が参加した。