2022年中間選挙 個人メガドナーランキング、ナンバー1は?

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政治資金を調査・追跡する非営利組織「OpenSecrets」によると、中間選挙目前にして外部組織による支出が急増。3日に20億ドルを突破し、2018年の水準16億ドル(インフレ調整後)を大きく上回っていることがわかった。外部支出の増加は、最高裁によって特別政治行動委員会の設立が認められた2010年以降に顕著だという。同形態の組織は、企業や組合、個人から無制限に献金を受けることが可能とされる。潤沢な資金を郵便やテレビ、ラジオ広告などに注ぎ、支持する候補者の支援や対抗馬のネガティブ・キャンペーンを展開している。同サイトによると、今年は個人の寄付者上位10人によるこうした組織に対する合計献金額が、全体の4分の1近くを占めることもわかった。

1.ジョージ・ソロス

1億2,850万ドル(約189億円)/民主党

ハンガリア生まれのホロコーストサバイバーで、ヘッジファンドマネージャーとして財を築いたソロス氏は、自身が設立した特別政治行動委員会「デモクラシーPAC」に1億2,850万ドルを寄付。そこから、民主党候補者を支持する複数の特別政治行動委員会に資金を提供している。この中には、民主党の「Senate Majority PAC」、親イスラエル派の組織「J Street Action Fund」、全米家族計画連盟による特別政治行動委員会などが含まれる。

ソロス氏は過去、こうした高額の献金をめぐり、右派や陰謀論者の攻撃の的にされることも多い。 故郷ハンガリーの教育機関や人権プロジェクトにも多額を費やしているが、オルバン首相は、ソロス氏が移民を殺到させて、国家を破壊する計画を企てていると主張するなど、敵意を示している。

2.リチャード・ユーライン

8,070万ドル(119億円)/共和党

一般業務用の資材やシッピングサービスを提供する米国有数の規模を誇る非公開会社、Uラインの共同創設者。保守派の特別政治行動委員会「Club for Growth」のトップドナーであるほか、ウィスコンシン州のロン・ジョンソン上院議員の再選を支援する組織に350万ドルを提供している。

3.ケネス・グリフィン

6,860万ドル(101億円)/共和党

マイアミのヘッジファンド「シタデル」のCEOで、世界有数の資産家。下院のケビン・マッカーシー院内総務が管理し、数十人の候補者を支援する特別政治行動委員会「Congressional Leadership Fund」に1,850万ドルを寄付しているほか、共和党の「Senate Leadership Fund」にも1,000万ドルを提供している。

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4.ジェフ・ヤス

4,730万ドル(69.8億円)/共和党

クオンツトレーディング企業サスケハナ・インターナショナル・グループの創設者。共和党の長年のドナーで、新自由主義を唱える候補者を支持し、リバタリアン系のシンクタンク「ケイトー研究所」の取締役会の副議長に就任している。新型コロナに伴う学校閉鎖や批判的人種理論をめぐって、民主党候補者に対するネガティブCMを放送するなどしている「School Freedom Fund」に、1,500万ドルを寄付している。ランド・ポール上院議員(ケンタッキー)の再選を支持する特別政治行動委員会に500万ドル、トランプ氏がエンドースした上院議員候補ブレーク・マスターズ(アリゾナ)を支持する「Crypto Freedom PAC」に190万ドルを寄付している。

5.ティモシー・メロン

4,000万ドル(59億円)/共和党

アンドリュー・メロンの孫で、長年の共和党のメガドナーとして知られる。トランプ前大統領の積極的な支持者で、移民法の厳格化を応援し、昨年はテキサス国境の壁建設に関する基金に5,300万ドルを寄付し、注目を集めた。

6.サム・バンクマン-フリード

3,980万ドル(58.9億円)/民主党

暗号通貨取引所FTXの創業者で、将来のパンデミック防止に重点を置く自身の特別政治行動委員会「Protect Our Future PAC」への寄付などを通じて、民主党候補者を支援している。

7.フレッド・エイシェナー

3,580万ドル(52.7億円)/民主党

ラジオ局の運営や新聞事業を展開するシカゴのニュースウェブ・コーポレーションの創業者で、LGBT幹部会の支援者として知られる。民主党の「House Majority PAC」、「Senate Majority PAC」などに寄付をしている。

8.スティーブン・シュワルツマン

3,550万ドル(52.3億円)/共和党

世界有数の投資会社、ブラックストーン・グループの共同創業者で、最高経営責任者を務める。「Senate Leadership Fund」、「Congressional Leadership Fund」などに献金をしている。過去3回の選挙でも、高額寄付者のトップ10入りを果たしている。

9.ピーター・ティール

3,260万ドル(48億円)/共和党

PayPalの共同創業者で、現在データ分析企業「パランティア・テクノロジーズの会長を務める。トップ10入りは初めてで、アリゾナのブレイク・マスターズ上院候補と、オハイオのJ.D.バンス上院候補を支持する特別政治行動委員会にそれぞれ1,500万ドルづつを寄付している。

10.ラリー・エリソン

3,100万ドル(45.6億円)/共和党

オラクルの共同創設者で、推定資産1,000億ドルとされる超富豪。サウスカロライナのティム・スコット上院議員を支援する「 Opportunity Matters Fund」などに寄付している。