フィアンセと車でアメリカ横断の旅に出かけたギャビー・プティトー(Gabby Petito)さん(22)が失踪した事件で、家族が行方不明届を提出してから1週間が経過した。
一方、1日にフロリダの家族の元に一人で戻ってきたボーイフレンドのブライアン・ランドリー(Brian Laundrie)さん(23)は当初、捜査への協力を拒んでいると報じられていたが、今日になって行方不明と伝えられるなど、事件の謎は深まっている。
ネットでは様々な説が飛び交っており、一部では「死のゾーン(Zone of Death)」との関わりを指摘する声が上がった。
死のゾーンは、イエローストーン国立公園にある50平方マイルほどの土地。2005年にミシガン州立大学の法学教授、ブライアン・カルト氏が「完全犯罪」の成立が可能だとする論文を発表したことで、話題になった。
公園はワイオミング州を中心に、アイダホ州、モンタナ州にまたがっている。死のゾーンはアイダホ州に位置し、カルト教授によると、憲法の規定によって法の抜け穴が生まれる可能性があるという。
修正第6条では、「すべての刑事訴追について、被告人は、犯罪の発生した州および地区の公平な陪審による迅速かつ公開の裁判を受ける権利を有する」とされている。この地区とは予め法によって定められたものでなければならないと記されている。
イエローストーン公園は、死のゾーンも含めて、すべてがワイオミング州の連邦地方裁判所の管轄区域とされている。修正第6条に従うと、連邦犯罪における陪審員には、アイダホ州の在住者でありながら、ワイオミング州の管轄区域にいる人物が選ばれなければならないことになる。死のゾーンに住人が唯一これに該当するが、問題はここに暮らす人は一人もいない。このため、理論上は陪審員を招集することができないというのが、カルト教授の主張だという。
死のゾーン説はSNSでポピュラーになったが、カルト氏自身は以前、ポリティファクトに、法の抜け穴は「訴追がより困難な理由」を示したものであり「このゾーンでの殺人を合法とするものではない」と説明している。
プティトーさんは母親との最後の電話で、イエローストーン国立公園の南側に隣接するグランドティートン国立公園に行くと伝えたという。このことから、一部のネットユーザーの間で、プティトーさんが死のゾーンで殺害されたのでは、と勘ぐる声が上がっている。