米シアーズ 破産法適用を申請。125年の道のり

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創業125年の小売大手シアーズ(Sears)とKマート(kmart)を傘下に持つシアーズ・ホールディングスは15日、連邦破産法第11条の適用を申請した。

発表によると同社は、事業継続のための3億ドルのDIPファイナンスを確保しており、裁判所の承認を得て事業再生を目指す。
エドワード・ランパート(Edward Lampert)最高経営責任者(CEO)は声明で、「破産法11条のプロセスにより、シアーズ・ホールディングスはバランスシートを強化し、企業の戦略的変革を加速。事業規模の適正化を継続し、収益事業へと回復することができる」と発表。先に予定していた46店舗に加え、年内に142の不採算店舗を閉鎖し、近く閉店セールを開始するとしている。現在シアーズ・ホールディングスは、6万8千人の従業員を抱えているという。
経営体制として、ランパート氏はCEOの座を降り、代わりに現CFOら3名で構成するCEO室がマネジメントを行う。ランパート氏は会長職にとどまるという。

USA Tdayによると、同社にはKmartを含め687店舗が残るが、実行性のある事業再生計画で合意に至らなかった場合、全店閉鎖の可能性もある。同社は8月は、Kマート13店舗とシアーズ33店舗を11月までに閉鎖する計画を発表していた。

シアーズ 125年の道のり

  • 1886年:リチャードW.シアーズがミネアポリスで「R.W. Sears Watch Company」をスタート。企業広告として、ビジネスマン向けに、時計の商品カタログを送付。
  • 1887年: シカゴに拠点を移し、カタログ販売を開始する。
  • 1895年:カタログ販売大手へと成長し、1890年代中頃のカタログは532ページに達した。この年のカタログには、服、アクセサリー、釣り道具、家具、食器、楽器、サドル、火器、バギー、自転車、乳母車などが並んだという。
  • 1913年:オリジナルブランド「Kenmore」でミシンの販売をスタート。20年代にはブランドに洗濯機が追加。70年代になると冷蔵庫やエアコンまで拡大した。
  • 1925年:初の小売店舗を開設。初号店で成功を収め、1927年までに26店舗をオープン。
  • 1927年:工具ブランド「Craftsman」をスタート。独自生産ではなかったが、2017年まで独占販売権を保持していた。(2017年、販売権をBlack and Deckerへ売却)
  • 1931年:店舗ビジネスを加速させ、この年、小売店による収益が全体収益の過半数を突破。1933年には400店舗をオープンした。
  • 1973年:シカゴに新たな本社ビル、シアーズタワーを建設。シアーズタワー(現ウィリス・タワー)は当時全米で最高層のビルだった。
  • 1993年:100年以上続けたカタログ販売を廃止。小売店のさらなる規模拡大や自動車販売に経営をフォーカス。
  • 2004年:Kマートがシアーズを買収し、統合。シアーズ・ホールディングの参加となる。
  • 2015年:前年度に70億ドル(7,700億円)の損失を計上。CEOに就任したエドワード・ランパート氏が5億ドルの貸付を行い、破産を回避。この年、不採算店舗を大幅に閉鎖。
  • 2018年:6月に78店舗の閉鎖を発表。10月11日、米各メディアの報道で破産法適用申請を行う見通しが明らかとなる。