米ハイヒールの売上減少。オフィスのカジュアル化が浸透

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高いヒールで街やオフィスを闊歩するの時代はもう終わり?オフィスでも快適で実用的なシューズを求める女性の数が、増加しているというデータが発表された。

NPDグループの小売業トラッキングサービスの調査によると、昨年の米国内のハイヒールの売上は、12%減少した。一方で、女性用スニーカーの売り上げは37%増加し、23億ドル(約2,530億円)に達する。

志向やライフスタイルの変化

ハイヒール
©mashupNY

ワシントンポスト紙によると、ロンドンの小売テクノロジーカンパニー、Editedによる調査結果では、ハイヒールの在庫数は28%増加しており、売上減少の原因は、ヒールを購入する選択肢が減ったためではないとする。また、3分の1のハイヒールが、平均47%引きで販売されるなど、販売価格が高いのも減少の理由ではないという。

マーケットリサーチ会社のMintelの調査によると、女性はドレスシューズやファッションブーツよりも、運動用のシューズやサンダルを購入する傾向にあるとしている。ほぼ半数の人が、快適なシューズに投資したいと思っているという。

女性たちは、ヨガから仕事へ、ハッピアワーから子供の迎えなどマルチタスクを負うようになり、その都度着替える必要性のない、様々なシーンに合う服を求めるようになった。それらにフィットする靴はフラットシューズだとMintelのアナリストは述べている。

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2000年代に流行したドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」(Sex and the City)時代に人気を博したシューズメーカー、ジミーチュー(Jimmy Choo)は、2017年にマイケルコース(Michael Kors)が買収。NYのシューズブランドスチュアート、ワイツマン(Stuart Weitzman)はコーチ(Coach)が買収するなど、ラグジュアリーシューズメーカーと大手アパレルの統合が進んでいる。
一方、Nikeは、2月末に女性専用のシューズストア「Unlaced」のコンセプトを発表した。

最新の国勢調査によると、首都ワシントンDCで、徒歩で通勤する人は、2012年の12%から14%に上昇している。Fitbitのようなトラッカーが流行し、人々の運動への意識が高まったとアナリストは分析する。

ニューヨークでも快適なシューズが流行

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デコボコした道路事情や、地下鉄の階段の上り下りが多いため、ニューヨークの女性はフラットシューズやスニーカーを着用することが多いが、その傾向はより強まっているという。

ハイヒール
©mashupNY

老舗デパート、ロード&テイラー(Lord & Taylor)のマネージャーTravis Hutchinson氏は、「快適さこそがナンバーワンで、引き続きトレンドとなっている。スーツやワンピース、タイトスカートにスニーカー姿の女性を実によく見かける。」とCBSニュースに回答している。ロード&テイラーのスニーカー売り場は、年々拡大している。

ミレニアル世代に向けたウェブメディアのRefinery29のライター、Connie Wang氏は「オフィスカルチャーにも、ザッカーバーグ化(リラックスした服装で働くスタイル)が浸透している。」とし、「フラットシューズを着用する方が、より自分らしいという人もいて、それが受け入れられる社会になってきたと思う。」と述べた。
「多くの女性は、ヒールの高さで、自分の実力を測られたくないと思っており、これはミレニアル世代によってもたらされたカルチャーシフト」で、高値のヒールではなく、日常使いできる実用的なシューズを欲していると述べた。