NY市のネズミが新型コロナに感染していたことが判明、研究者らヒトへの2次感染リスクに懸念

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ニューヨーク市では麻薬戦争ならぬ「ネズミ戦争」は深刻な問題だ。ネズミの目撃情報は近年増加の一途をたどり、市に寄せられた報告は2020年に比べ71%増加した。

エリック・アダムス市長は昨年12月に「ネズミ駆除ディレクター」を年棒17万ドルで募集すると発表。対策に本腰を入れはじめている。

そうしたなか、さらなる懸念を抱かせる研究結果が、学術誌「アメリカン・サイエンティフィック・フォー・マイクロバイオロジー(mBio)」に掲載された。ミズーリ大学インフルエンザ・新興感染症センターのヤン・ワン博士率いる研究チームは、この中で、市内のネズミから新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたとし、ヒトへの感染を媒介する潜在的なリスクに警鐘を鳴らした。

研究チームによると、ネズミの曝露状況を調査するために2021年秋に市で捕獲された79匹を分析したところ、13匹が陽性反応を示した。このうちの一部から回収したウイルスのゲノムを解析した結果、「2020年春のパンデミック初期にニューヨークで優勢だった遺伝子系統Bに関連する」ことが示された。

さらに「ウイルスチャレンジ研究」をした結果、デルタ株が最も高い感染力を示したと説明。ネズミは「アルファ型、デルタ型、オミクロン型に感染しやすい」ことが判明したとした。

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研究者らは、研究により新型コロナウイルスがヒトから都市部のネズミに感染する「逆人獣共通感染症」であることが明らかになったとした上で、「ヒトへの二次感染の可能性を、さらに監視する必要性」があると強調した。