アウトドア用品店「REI」、治安悪化でポートランド店閉鎖へ

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シアトルに本社を置くアウトドア用品店「REI」は、来年早々にポートランドのパール地区にある店舗を閉鎖することを明らかにした。シアトル・タイムズが伝えた。

生活協同組合の形態で運営するREIは、1983年に登山家らによって結成され、同社のホームページによると現在は39州で165店舗を展開する。ニューヨークのソーホー地区付近にも旗艦店を構え、キャンプや登山、サイクリング、旅行などに関連したアイテムを販売する。

同社はシアトル・タイムズの取材に、セキュリティを強化したにもかかわらず、不法侵入と盗難件数が増え、過去20年間で最高で、建物に「大きな投資」が必要になったと説明した。「(移転の)機会を評価している」と可能性を残したものの、同紙は、積極的な計画とはいえないと伝えている。

150人を超える店舗の従業員には、他店への応募を奨励する一方、早期退職を選択しない従業員に対して特別残留手当を支払う予定だという。

なお問題はパール地区特有のもので、シアトルの旗艦店をはじめとする他店が同様に犯罪の問題に直面しているか明らかにしなかった。

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同店では昨年11月の感謝祭明けのブラックフライデーに、車でフロントドアが突き破られ、商品が奪われる事件が発生した。店は幸い休業しており、けが人はなかった。1週間で3件目の盗難事件だったという。

セキュリティ強化のために安全ガラスへの交換、24時間体制の民間警備員の雇用、搬入口に監視トレーラーの設置など「多額の投資」を行ったが、盗難犯罪はシステムを圧倒する規模だと説明。昨年費やした追加のセキュリティ費用は80万ドル(約1億円)に上ったという。「顧客と従業員の安全を守るための追加の安全対策は、財政的に持続可能ではない」と、閉鎖の判断に至った理由を示した。

ノースイースト・ポートランドにあるナイキ店も、昨年11月から盗難や安全の問題を理由に閉鎖を続けている。今年2月、同社はテッド・ウィーラー市長に宛てた書簡で、店舗再開に向け、同社が非番の警官を雇用、または警察の増員に資金提供する案を提示したと報じられている。