エリザベス女王から「ナイト」称号授かった歴代米大統領は?

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­­8日に亡くなったエリザベス英女王(享年96)。70年の在位期間で、国籍や分野を問わず英国に寄与した人にナイトの称号を授与してきたが、その中には3人の米国の大統領経験者もいる。

ナイトとは?

ナイトは「バス勲章」や「大英帝国勲章(Order of British Empire)」といった勲章の授与に伴い、王室から授けられる称号。これら勲章には、それぞれ5つのランクがあり、そのうち最高位の「ナイト(女性はデイム)・グランド・クロス」、次いで「ナイト(女性はデイム)・コマンダー」の爵位を授与された人物が、「ナイト」とみなされる。

ナイトの称号を受けると、名前の頭に「サー(男性)」又は「デイム(女性)」を付けることが許されるが、これはイギリス人の場合のみ。外国人はナイトの称号を受けたとしても「サー」を名乗ることはできないという。

ところで、米国のしきたりとして、大統領の呼称は会話の最初は「ミスター・プレジデント」と呼び、2度目以降は「サー」と呼ぶことになっている。しかしイギリス王室一家との公式な対話では、「サー」を使えず通例の呼び方ができない。この場合は終始「ミスター・プレジデント」で通すのかもしれない。

ナイトの称号を受けた米大統領

ドワイト・D・アイゼンハワー

AP 通信によると、米大統領経験者で最初に英王室からナイトの称号を受けたのはアイゼンハワー大統領。ただ、授かったのは大統領就任(1953年)前のことで、エリザベス女王ではなく先代の国王ジョージ6世からだった。1943年に第二次世界大戦で陸軍元帥としてヨーロッパ戦線で連合国を率いた功績を称えられ、「バス勲章(Order of the Bath)」の「ナイト・グランド・クロス」を授かった。この数年後に「メリット勲章(Order of Merit)」も授与されている。

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アイゼンハワー大統領はヨーロッパへの貢献から、英国だけでなくデンマーク王室からも勲章を授与され、国王クリスチャン10世から同国最高の栄誉とされる「エレファント勲章」を受けている。

ロナルド・レーガン

レーガン大統領は退任して間もない1989年6月、エリザベス女王から「バス勲章」の「ナイト・グランド・クロス」を授与された。AP通信は「戦後、米国人がこのランクの爵位を授かることはなかったが、1989年、マーガレット・サッチャー元首相の保守派の同士であるレーガン氏がこれを覆した」と伝えている。

ニューヨークタイムズ紙は当時、レーガン氏は「大変光栄だ」と話したと伝え、受章者に与えられる星、バッジ、赤い絹のたすきが入った箱を持ってバッキンガム宮殿を出たレーガン氏に、隣にいたエリザベス女王が「落とさないでね」と声をかけたというエピソードを紹介した。

ちなみに女王は70年に及んだ在位期間中、14人の歴代米大統領のうち13人と面会したとされるが、中でもレーガン氏が1番のお気に入りだったと伝えられている。

ジョージ・H・W・ブッシュ

ブッシュ大統領(父)も同様に大統領退任後、エリザベス女王から「バス勲章」の「ナイト・グランド・クロス」を受けた。Deseret Newsは当時、英政府高官の話として「特に湾岸戦争において、共和党の米国大統領と英国の保守政権との緊密な関係を示すもの」と報じた。

3人の大統領の共通点

ナイトの称号を受けた大統領経験者には、全員共和党という共通点がある。とはいえ英王室が共和党寄りと考えるのは早計で、実は英王室は大統領以外の米政治家にもナイトの称号を授与しており、必ずしも共和党の政治家ばかりではない。

トム・フォーリー下院議長、テッド・ケネディ上院議員、ジョージ・ミッチェル上院議員、ディーン・ラスク国務長官もナイトの称号を受けたが、全員が民主党に所属していた。もちろん共和党も大統領以外の政治家でナイトの称号を受けた人は多く、アラン・グリーンスパン連邦準備制度理事会議長、リチャード・ルーガー上院議員、ジョン・ワーナー上院議員、キャスパー・ワインバーガー国防長官、ジョン・ギルバート・ウィナント英国大使などは全員共和党で、トランプ氏の弁護として2020年大統領選で世間を騒がせたルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長も、実は“ナイト”の一人。

ちなみに、これまで共和党の大統領経験者ばかりがナイトの称号を受けたことから、トランプ前大統領に対しても勲章の授与は「あり得なくはない」と一部で噂された。実際に一部支持者から嘆願書も出されたが、英政府・議会は要件に合わないとして却下した。嘆願書受理に関する規則では「第3者の名誉を要求、または剥奪を求める」ものは受け付けないとしている。

ソースshare.america.gov