あなたの街にも?NY市、移民に片道航空券を無料配布

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大量に流入する移民の対応に追われるニューヨーク市で、新たな移民対策が始まった。飛行機の片道切符を無料で発行する「チケットセンター」を開設し、移民に別の街への移動を推奨する計画だという。

市の報道官は、Politicoに対し、市が航空券を購入することで「次のステップを踏み出せるよう、移民を手助けするための取り組みを倍加させる」と語っている。

昨年3月以降、南部国境を超えニューヨークに到達した難民希望申請者は、13万人を超えた。シェルターに滞在中の移民は6万5,000人で、収容可能な人数の半数を超える。シェルターで保護することができる人数は、限界を迎えつつある。

市によると、移民1人あたりに費やされる費用は、1日394ドル(約6万円)。現在の状況が続くと、移民の受け入れコストは、今後3年間で120億ドル(約1.8兆円)に達すると発表されている。

飛行機の片道切符は、場所によっては$380で購入することができるため、1日分の滞在費用より安くすむという。

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チケットセンターは、イーストヴィレッジにある教会に設けられた。市の職員から目的を告げられずに、センターを訪れた移民もいたという。

ベネズエラとエクアドル出身の若者はニューヨークポスト紙に対し「飛行機で行きたい場所がなかった」「われわれはどこにも行かない」と語っている。ロシア出身の移民は、まもなく労働許可証が入手できると述べ、他の街への移動を「拒否した」と述べた。

寛容ではないと批判も

市は最近、シェルターに滞在できる日程を60日から30日に短縮した。また「市のリソース不足」により、労働許可証を入手するための「支援が困難」だとして、ニューヨークへの訪問をやめるよう求めるビラを作成。国境やシェルターなどで配布している。

エリック・アダムス市長は会見で「毎年サンクスギビングデーになると、私の親類が訪れ、みな私の家で宿泊しようとする。もう空き部屋はない。それが私たちの状況だ」と厳しい現状を訴えた。シェルターが満室になった場合に備え、テント村の建設も検討している。

これらの対応について、移民への「哀れみの気持ちに欠ける」との声も上がっている。シャハナ・ハニフ市議会議員はポリティコに「出て行け」とまでは言っていないが、「ウェルカムや包括性といったトーン」が感じられないと市を批判した。