プーチン大統領の「核ボタン」元運び係 銃撃受け重体

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以前にプーチン大統領の「核ボタン」を運ぶ任務についていたというロシア連邦保安庁の元大佐が、自宅で銃で撃たれて倒れているところを発見された。英紙ミラーが伝えた。

撃たれた男性はヴァディム・ジミン氏(Vadim Zimin、53歳)。重体で集中治療室で治療を受けている。

ジミン氏は、エリツィン前大統領の時代からカバンを持つ任務を担っていたといい、プーチン大統領の元で連邦保安庁の大佐にまで昇格したという。

モスクワ州のクラスノゴルスクにある自宅の台所で、血まみれになって倒れているところを、弟が発見した。頭を負傷し、近くにはピストルが置いてあった。

ジミン氏は、関税局の上級職に就いた後に賄賂を受け取った疑いで捜査を受けており、自宅軟禁を命じられていたという。

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カバンの中身は?

「核ボタン」カバンは黒のブリーフケースで、ウクライナ侵攻開始後、プーチン大統領に同行するスタッフが持ち歩く姿が報じられるなどしている。

米国版「核ボタン」カバンは「核のフットボール」のニックネームで知られる。公式には「大統領緊急サッチェル」と呼ばれる。実際には発射ボタンがあるわけではなく、元ホワイトハウス軍務室のビル・ガリー長官が記した本「Breaking Cover(1980)」によれば、攻撃オプションを確認するための黒色の本、認証コード、大統領が緊急時に使用できる機密場所のリスト、緊急送信システムの使用方法などが含まれているという。

ロシア版は「チェゲト」と呼ばれる。アルジャジーラが2020年の資料「核抑止に関するロシア連邦の国家政策の基本原則」をもとに伝えたところによると、米国のものと同様に核発射ボタンはないが、常に大統領の近くに置かれ、ロシア軍幕僚機関の中央司令室に発射命令を送信することができる。司令を受け取った幕僚は発射コードにアクセスができ、二つの方法で核ミサイルの発射を実行できるという。ひとつは個々の兵器の司令官に認証コードを送信し、司令官が発射手続きを実行する方法。もう一つは、Perimetrと呼ばれるバックアップシステムを使用するもので、この場合、幕僚は司令部を迂回して、陸上ミサイルの発射を直接実行できるという。