チェチェン独裁者 ロシア司令官を再び名指し非難、ウクライナ軍の防衛線突破めぐり

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チェチェン共和国の独裁者ラムザン・カディロフ氏が、ロシア軍の司令官に対する厳しい批判を展開した。

カディロフ氏は27日のテレグラムの投稿で、東部ドネツク州の一部の防衛線を、50人のウクライナ兵を乗せた装甲兵員輸送車が、戦わずして突破したと指摘。中央軍管区司令官のアレクサンドル・ラピン大佐の責任と名指しし、最終的に進軍を止めることができたが、他の地域で軍を撤退させるなどの影響が出たと説明した。

カディロフ氏は、リマン撤退に陥った失敗が繰り返されていると主張。「彼が一度もそこにいたことさえないリシチャンシクの攻略で、勲章を授けられたことにだれも関心がないのか?」「彼がリマンの撤退をどのようにしたのか関心がないのか?」「なぜ調査が行われないのだ」と批判を続けた。

兵を失い、集落を奪還される前に対策を打たねばならないと述べ、「エフゲニー・プリゴジンが正しく指摘しているように、戦術と人材の変更が必要だ。明日ではない、直ちにだ」と、司令官の解任を案に求めた。

プリゴジン氏は、傭兵組織「ワグナーグループ」の創設者で、最近は自ら刑務所を訪れて兵を募集する動画などが頻繁に出回っている。ワシントンポスト紙は先日、米当局者の話として、プリゴジン氏がプーチン大統領と個人的に面会し、連邦軍の失敗を指摘したと伝えた。

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カディロフ氏はまた、プリゴジン氏について「生まれながらの戦士で、彼の戦闘員たちは真にプロフェッショナルで、ロシアの愛国者」と称賛し、「これらの人々の評価に深く注意を払うべきだ。戦争において何が正しくて、間違っているかを知っている」と推奨した。

リマンを奪還された際、カディロフ氏はテレグラムの投稿で「軍隊の縁故主義は良い結果を招かない」と主張。ロシア軍司令官は、勲章を剥奪され、恥を血で洗い流すために銃をもって前線に送り込まれれるべきなどと批判していた。

こうしたロシア軍司令官に対する公然とした批判は異例とされ、専門家の一部は、ロシア国家の影の側面がますます表面化していると指摘している。国家安全保障会議で欧州・ロシア担当上級顧問を務めたフィオナ・ヒル氏はワシントンポスト紙の取材に「プリゴジンのような人々が、名声を得るチャンスを見出している」と指摘。「このように人々がでしゃばるのは、システムが圧力を受けていることを真に示したものだ」と、軍のリーダーシップの立場が揺らいでいる可能性を語った。