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【決算ウォッチ】空飛ぶクルマのBETA、Q3売上高倍増で通期見通しを上方修正 認証の進捗度は?

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垂直離着陸機などを開発する米BETA Technologies(NYSE: BETA)は11月3日、取引開始前に2026年第3四半期(7~9月)の決算を発表した。売上高は前年同期比98%増の1,767万ドルで、四半期として過去最高となった。会社予想の800万~1,200万ドルを大きく上回り、通期の売上高見通しも引き上げた。株価は同日、前日比16.0%高の23.64ドルで取引を終えた。出来高は368万株で、前日の約1.9倍に膨らんだ。

決算のポイント

項目2026年Q3前年同期
売上高1,767万ドル(+98%)892万ドル
うちプロダクト518万ドル(+78%)292万ドル
うちサービス1,249万ドル(+108%)600万ドル
営業損失1億2,780万ドル8,057万ドル
純損失1億1,912万ドル4億3,721万ドル
1株当たり純損失0.51ドル9.83ドル
調整後EBITDA▲9,745万ドル▲6,758万ドル
設備投資2,878万ドル1,296万ドル
現金及び現金同等物(9月末)13億4,306万ドル6億8,763万ドル
  • 売上高はすべて自社事業によるもので、買収による上乗せはない。伸びたのは、部品の納入、提携先との開発案件、米連邦航空局(FAA)の実証プログラム(eIPP)に伴う充電設備の前倒し受注、そして同社のモーターや電池を積んだ他社機の飛行試験支援である。
  • 顧客別では民間向けが1,732万ドル(前年同期は622万ドル)と増収をけん引した。政府向けは36万ドル(同270万ドル)に減少した。
  • 粗利は1,274万ドルで、粗利率は約72%と前年同期の約69%から上昇した。
  • 純損失は前年同期から大きく縮小した。ただし前年同期には、転換優先株の発行に伴う損失3億5,555万ドルが計上されていた。本業の赤字で比べると、営業損失は約4,700万ドル、調整後EBITDAの赤字は約3,000万ドル拡大している。
  • 現金が前年同期の約2倍になったのは、2025年10~12月期に資金を調達したため。2025年末(17億1,023万ドル)からは、9カ月で約3億6,700万ドル減少した。
  • 9カ月累計の売上高は4,246万ドルで、前年同期比73%増。この時点で、従来の通期見通しの下限(4,200万ドル)をすでに上回っていた。

見通し:Q4は前期比で減収の計算

通期の売上高見通しは、従来の4,200万~5,000万ドルから5,200万~5,700万ドルに引き上げられた。調整後EBITDA(▲4億~▲4億4,500万ドル)と設備投資(1億5,000万~2億ドル)の見通しは据え置いた。

ただし、新しい見通しから9カ月累計を差し引くと、Q4の売上高は約950万~1,450万ドルになる。上限でもQ3の1,767万ドルに届かず、前期比で減収を前提にしていることになる。

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決算説明会では、この点をアナリストが質問した。ハーマン・クエト(Herman Cueto)CFOは、工場では顧客向けの作業と自社の認証用の機体づくりを「バランスさせている」と説明し、その配分によって四半期ごとの売上の計上時期がぶれると述べた。そのうえで「レンジの上限に届く見通しは立っている」と語った。見通しの中央値でも、通期では50%超の成長になる。

調整後EBITDAが会社予想(▲1億1,500万~▲1億2,500万ドル)より良かった理由として、同社は3点を挙げた。売上の上振れ、費用が予想を下回ったこと、そしてCX300向け機体部品の資産計上を始めたことである。Q3に資産計上した部品は970万ドルあった。3点目は、費用として処理していた分を資産に計上するようになったという会計上の変化であり、事業の効率が改善したことを示すものではない。

年初の5目標のうち3つを2カ月前倒しで達成

BETAは年初に、2026年末までの目標を5つ掲げていた。このうち3つはすでに達成した。

  • 受注残:40億ドル強(目標は40億ドル)。確定受注とオプションを合わせて1,040機で、いずれも顧客の資金的な裏付けがあるとしている。足元の営業は、貨物と医療輸送の顧客に力を入れている。航空会社は燃料高に苦しんでおり、eIPPでどれだけコストを削減できるかを見極めている段階だという。
  • 累計飛行距離:25万海里を突破した。
  • 充電拠点:168カ所(目標は150カ所)。Q3の充電回数は8,426回で、前年同期比49%増えた。

残る2つのうち、生産能力の目標は月4.5機分の実証である。決算説明資料によると、機体の生産ペースはこれまで最大で月0.5機にとどまる。一方、飛行制御コンピューターや電池パックなどの部品ラインでは月4.5機分の能力をすでに実証したと説明した。主翼や胴体といった機体本体の製造でも同じペースを試しており、年末までに設備を整え、2027年初めにかけて実証を続ける。もう1つの認証は次節で取り上げる。

部品事業には、機体の受注残とは別に約10億ドルの受注残がある。クラーク(Kyle Clark)CEOは、その大半は1社からの受注だと説明した。

認証:eVTOL初のマーケットサーベイ認可、ただし型式証明はA250で第4段階0%

10月16日、垂直離着陸型の機体A250(ALIA)が、FAAのマーケットサーベイ用特別耐空証明を取得した。型式証明を取る前でも、見込み客を乗せたデモ飛行ができる認可で、eVTOLとしては初めての取得となる。BETAは滑走路で離着陸するCTOL型のCX300でも、すでに同じ認可を得ている。4日後の10月20日には、ニューヨーク州プラッツバーグからバーモント州バーリントンまでの34海里を20分足らずで飛び、垂直離陸から垂直着陸までのデモ飛行を実施した。

次世代航空モビリティの実証運航を行うFAAの「eVTOL統合パイロットプログラム(eIPP)」では、BETAが関わる7件のうち6件で運航が始まった。ノースカロライナ州の医療物資、テキサス州の緊急対応機材、ユタ州のがん治療薬などを運んでいる。現在のフェーズ1は非商業運航(Part 91)で行われている。次のフェーズでは商業運航(Part 135)による有償飛行に進む計画で、規制当局との調整役の担当者は、その道筋が「数週間以内に」示される見通しだと述べた。

説明会でクラーク氏は、「VTOL業界で最初に認証を取るのは当社だと強く信じている」と語った。理由として挙げたのは、液冷やギアボックス、推力偏向といった複雑な仕組みを機体から省いたことで、「認証で証明すべきことがそもそも少ない」点である。

ただし、同社が決算説明資料で開示している認証の進捗を見ると、A250は5段階のうち第2段階で「適合性証明の方法」の策定が32%、第3段階の「適合計画」が6%、実際の証明作業にあたる第4段階は0%である。第2四半期時点の数字として示されたCX300の第4段階は5%、最も進んでいる電動モーターH500Aは45%で、第1四半期時点(それぞれ3%と43%)からいずれも2ポイントの前進にとどまる。

防衛と政府資金

防衛分野では、民間機A250の主翼や尾翼、モーターなどをそのまま使った無人ハイブリッド機MV250を開発している。GEエアロスペースのターボ発電機と、シコルスキーの自律飛行システムを組み合わせた機体だ。陸軍研究開発部門(DEVCOM)からは、ハイブリッド化と自律化の開発資金をすでに受け取っている。クエト氏は10月21日に国防総省の幹部と面談した。クラーク氏は、MV250の量産立ち上げは民間向けeVTOLより「やや早い」との見方を示している。

資金面では、米輸出入銀行(EXIM)からの8億3,000万ドルの融資が「審査委員会の通過を始めた」段階にある。国内の製造拠点の拡張と、部品の内製化を進めるための資金で、株式の希薄化を伴わない。

インサイダー動向:CEOの計画売却は決算当日も

決算発表当日の11月3日、クラーク氏による1万株(約23万ドル)の売却予定を届け出るForm 144が提出された。この売却は、2026年6月25日に採用した10b5-1計画(あらかじめ取引条件を決めておく売却計画)に基づくものである。

同じ届出によると、クラーク氏は過去3カ月に39回、計約53万株(総額約1,210万ドル)を売却している。8月には1日最大3万株を売却した日もあったが、9月24日以降は1営業日1万株のペースが続いている。売却はいずれも信託経由で行われている。事前に決めた計画による売却であり、経営陣が足元の業績や先行きを判断した結果とは限らない。

今後の注目点

  • 他社決算との比較:Joby Aviation(11月4日)とArcher Aviation(11月9日)が続く。手元資金、資金の減るペース、認証の進み具合、防衛分野での動きが比較のポイントになる。
  • eIPPフェーズ2:商業運航(Part 135)への移行の道筋がいつ示されるか。
  • EXIMの融資:正式に決定するか。
  • 新規顧客の発表:受注残を40億ドル超に押し上げた貨物顧客の発表。クラーク氏は「近くプレスリリースを出す」と述べた。
  • 2027年見通し:Q4決算で示す予定。クエト氏は、研究開発費は前年より増える見込みとしている。