「悪魔が襲いかかかった」親子3人が心中

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ペンシルベニア州ヨーク郡にある民家で25日、親子3人が死亡しているのが発見された。自宅からは「悪魔が襲いかかった」などと書かれた手書きの遺書が発見され、地元警察は、心中を図ったとしている。

亡くなったのは、娘のモーガン・ダウブさん (26) と父親のジェームズさん (62) 、母親のデボラさん(59)。ウエスト・マンチェスター・タウンシップ警察によると、1月19日に書かれた手紙の中には、神や聖書に関する内容に加え、「モーガンと家族に襲いかかった悪魔」といった言葉が書かれていたという。

また死亡の前日に書かれた手紙では、父ジェームズさんは「銃は2丁しかない。怖すぎて銃が引けないので、(妻の)デボラが引き金を引く」と明かしていた。母デボラさんは「引き金を引くことができないので、娘が引く」と具体的に綴っていたが、警察は「誰が誰を撃ったかは、(調査では)判明しないだろう」と語っている。

ほかには「父親と話す、犬の爪を切る、家族への手紙を書く」など、命を断つ前のチェックリストなども含まれていたという。

地元紙ヨーク・ディスパッチによると、遺書には親子が心中するに至った敬意が記されていた。娘モーガンさんは、これまで幻聴に悩まされていたことや、それが改善されないことを母親に相談していたと記載していた。モーガンさんが母親に人生を終わらせたいと告白したところ、デボラさんは娘を1人で死なせたくないとして自身も死ぬことを決意した。2人から計画を明かされた父親は、家族なしに生きていけないと思ったと心境を綴っていたという。

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また親族に宛てた手紙では、生命保険の契約書や書類棚の鍵、債務の支払い方法、銀行口座へのアクセス方法などの詳細が記されていた。飼い犬は、死後訪れた人々に対して、脅威を与えることがないよう、薬で落ち着いた状態にされていたという。

モーガンさんは数カ月前、8分間の動画をYouTubeに投稿し、自分自身を「いと高き神の預言者」だと述べ、「米国のペンシルベニア州ヨークのモーガン・エリザベス・ダウブは、イングランドと英国の王位と、それにまつわる権利や特権などと共に放棄する」と宣言していた。

ビデオを確認した警察は、モーガンさんが精神的な問題を抱えていたことは「極めて明白だ」と指摘している。なお、今回の事件に関する捜査はすでに終了しているという。

モーガンさんはボーリングが得意で、2018年から2019年には、同地区で女性部門の上位にランクインするほどの腕前だったという。地元のボーリング場には、母親とともに、週に数回訪れていたが、2019年ごろから姿を見せなくなった。

地元の住民はヨーク・ディスパッチの取材に対し、モーガンさんは「物静か」で「聡明な」女性で、両親も「感じがよかった」と振り返った。YouTubeの動画を見て、子供のころボーリング場で見かけた少女とは全く異なると、印象を語っている。

地元でプロ用のボーリング関連の店を経営するブレット・ステイブリーさんはNBCニュースに、モーガンさんは、素晴らしい選手だったと述べる一方、一家は非常に熱心なトランプ支持者で、そのことが原因で、家族との交流が途絶えたと話した。別の人物も、父親は「宗教に夢中」だったと説明。家の庭には、トランプ氏を支持したり、中絶反対を示したりするプラカードが置かれていたと語った。

厚生労働省が紹介する相談窓口「こころの健康統一ダイヤル」0570-064-556、「いのちの電話」0570−783−556、「#いのちSOS」0120−061−338、「よりそいホットライン」0120−279−338