米国に進出・起業に適したビザとは? その2「E2」ビザを専門解説

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今回はE2ビザについてお話ししたいと思います。E2ビザはTreaty Investor(条約国の投資家)と言い、米国と特定の通商条約を結んでいる国の国籍者が対象となります。駐在にも、起業にも適したビザです。

E2の特徴や要件

長所

E2は、L-1と異なり、申請前にその会社や関連会社で働いていたという実績は必要ありませんし、米国外に関連ビジネスがなくても申請可能です。ですので、いきなり米国でベンチャーを立ち上げることも可能です。また、更新期間の上限はありません。

短所

大使館での初めの会社登録に多大な手間と時間がかかります。時間を早める制度はありませんので、最短3週間から遅いときは1年程度待つこともありえます。

国籍要件

E2の対象企業の半分以上を条約国の国籍者が所有していなければなりません。会社が米国の対象企業を所有している場合は、親会社の所有者の国籍まで遡ります。また、公開企業の場合は上場している場所を国籍国とみなします。そして、オーナー本人だけではなく、E2を申請する従業員も同じ国籍でなければなりません。例えば日本国籍者所有の会社では日本国籍者にE2を申請することはできますが、これも条約国である英国籍の社員にE2を申請することはできません。一つの会社で認められる国籍は一つだけです。ジョイントベンチャーで二つの条約国籍者が50-50所有している場合にも、どちらかの条約国を選ばなければなりません。

大使館の審査と移民局の審査

E2ビザの大きな特徴に手続きが理解しにくいことが挙げられます。まず、L-1やH-1Bと異なり、E2の大使館での申請に移民局の事前審査は必要ありません。しかし、E2は条約に基づくビザですので国務省が主管となります。したがって、移民局の判断を国務省の出先である大使館が尊重する必要はありません。つまり米国内でE2にステータス変更が移民局から認められても、大使館ではビザスタンプを却下されることがあり得るわけです。

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大使館での手続

大使館でE2ビザのスタンプをもらうためには、まず会社登録という事前手続きが必要となります。初めの1人の申請と同時に会社登録の申請をするのですが、会社の設立証書などの基本文書、投資した証拠、財政の見込みなどが求められます。会社登録の審査の期間は経験的に3週間から1年間と大きな幅がありますが、移民局の審査と異なりこれを速める方法はありません。大使館・領事館のその時の都合によりますが、おおむね半年を見積もることをお勧めいたします。しかし、会社登録の審査期間の間、日本にいなければならないということはありませんので米国でスタートした事業を何らかのビザで運営しながら会社登録の知らせを待つことも可能です。会社登録をした後の更新手続きや2人目以降のE2の従業員の大使館・領事館での審査は、許可が下りる場合は1週間程度の見積もりです。したがって、2回目以降の審査は移民局で事前許可の必要なL-1やH-1Bに比べてスピーディーになります。

滞在許可の期間

E2のビザスタンプは最長5年まで認められています。しかし、米国での滞在許可は1回の入国で2年間と決められていますので注意が必要です。もっとも2年以内に米国外旅行をすれば次の入国のたびに2年間新たに滞在許可をもらえますので、実質5年間あると見積もっても良いでしょう。また、更新の上限はありません。

投資額

「投資額は最低いくらか」というご質問を多々受けますが、実は決まった額はありません。最低20万ドルと言う弁護士もいれば別の弁護士のケースで5万ドル以下で認められたと言うこともあります。ここは規則に遡って考察するべきでしょう。規則では、「そのビジネスを成功裏に発展させることが可能な額」で、「予定された投資額が少ないときには投資の全額を終えていること、投資額が多い時には部分的でもよい」とあります。例えば、自動車工場を設立する場合と、一人会計事務所を開く場合では、必要とされる初期投資に大きな差があります。一人会計事務所の場合は少ない額の投資が求められますので申請時にすべて投資済みでなければなりません。他方、工場等多額の投資を要する事業の場合は申請時にすべての投資が完了していなくてもよいということになります。なお、物理的なオフィスがある必要はなく、自宅勤務も可とされています。

限界的なビジネスでないこと

現在または5年以内に申請者とその家族をギリギリ養えるという以上の顕著な経済的貢献を米国にできることが条件です。特に規則に定められているわけではないのですが、米国労働者の従業員を雇うことが願わしいと言えるでしょう。

申請者の種類

申請者の種類には、投資家本人、重役・管理職、そして基幹従業員があります。基幹従業員であるためには、その会社に必要不可欠な技能を持つことが条件ですが、H-1Bと異なり、必ずしも学歴が要求されるわけではありません。

寺井眞美(米国NY州弁護士)