特別検察官 トランプ氏追い詰めに複数の内部協力者の陰

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トランプ前大統領が政府の機密書類を不法に所持した疑惑を追及するジャック・スミス特別検察官は、27日に裁判所に提出された新たな起訴状で、3つの罪状を追加したことを明らかにした。

トランプ氏は先月、37の罪で起訴された。13日に行われた罪状認否では無罪を主張している。

追起訴では、不法に所持したものとして、トランプ氏が出版関係者とのインタビューで自慢したとされるイランへの攻撃計画に関する書類が加わった。

インタビューは、トランプ政権で大統領主席補佐官を務めたマーク・メドウズ氏の回顧録の執筆を進めていた出版関係者との間で行われた。会話はトランプ氏の公認のもとで録音され、最初の起訴状で会話の詳細が記されていたが、罪状には加えられていなかった。

先月後半に音声がメディアにリークされると、トランプ氏は「虚勢」を張っただけだと主張。実際に資料は持っていなかったと反論した。

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今回はさらに、大陪審から提出を求められたフロリダの邸宅マール・ア・ラーゴの監視カメラの映像を消そうとしたとして、司法妨害に関する罪が2つ加わった。

起訴状によると、新たに被告に加えられたトランプ氏の資産管理人、カルロス・デ・オリヴェイラ氏がIT部門の従業員に「ボス」がサーバーを消したがっていると、隠滅を働きかけた。従業員が方法がわからず、権限もないと答えると、「ボス」が消したがっていると繰り返し、「どうしたらよい?」と尋ねた。

司法省からビデオに関するメールが届いたのは2022年7月24日。前回トランプ氏とともに起訴された側近のウォルト・ナウタ氏はこの日、トランプ氏とイリノイ州に同行する計画を急遽変更、翌日にフロリダ入りした。この間、先述のITの従業員に勤務状況を確認していた。マール・ア・ラーゴに到着するとデ・オリヴェイラ氏とともに、監視カメラの位置を確認するなどした。

デ・オリヴェイラ氏とIT部門の従業員の会話があったのはこの2日後の朝だった。デ・オリヴェイラ氏は午後にナウタ氏と会い、トランプ氏とも電話で約3分30秒におよぶ会話をしていた。

新展開を受け、元FBIで対諜報活動担当の次長だったフランク・フィグリウッツィ氏は、MSNBCのインタビューで、「複数の協力者がいる」と指摘。起訴状を読むだけで、2人か3人いるのは火を見るよりも明らかと語った。

IT部門の従業員が協力している可能性が高いとしたほか、トランプ氏が虚勢を張ってみただけだと主張するインタビューにも言及。「誰かが特別検察官に、あの資料(イランへの攻撃計画)だったと話したに違いない」と語った。

インタビューには、出版関係者に加えてトランプ氏のスタッフ2名も同席したとされている。起訴状には、IT部門の従業員を含む「従業員3」、「従業員4」、「従業員5」など、匿名の従業員が複数人登場する。