エリックガーナー窒息死事件 NY市警察懲戒審議は警官の解雇を推薦

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エリック・ガーナー(Eric Garner)氏窒息死事件に関して、組織の行政処分を審議するローズマリー・マルドナド(Rosemarie Maldonado)委員は、警察官ダニエル・パンテレオ(Daniel Pantaleo )氏の解雇処分を警察委員長に勧める決定を下した。複数メディアが報じた。

2014年、NY市警察のパンテレオ氏は、路上で違法なタバコを販売していたガーナー氏を逮捕する際、抵抗を抑えるために、ニューヨーク市警察では禁じられているチョークホールドをかけて倒し、複数の警官とともに地面に押さえつけた。その場にいた人物が撮影した動画では、この間「息ができない」と何度も訴えるガーナー氏の様子が映しだされている。ガーナー氏は、その後動かなくなり、約一時間後に死亡が確認された。事件後、動画はネットを通じて拡散し、ブラック・ライブズ・マターに火をつけることとなった。

マルドナド委員の決定により、パンテレオ氏は現在、停職処分となったという。解雇の決定は今後、ジェイムズ・オニール警察委員長の判断に委ねられる。なお、パンテレオ氏の弁護側はチョークホールドではなく、相手をコントロールするための「seatbelt maneuver」で、認められた行為であると主張している。

ビル・デブラシオ市長は2日の記者会見で、解雇の推薦を「正義と責任への第一歩」と述べ、「手続きが真に公正公平であることを目の当たりにした。遺族に収束と一定の平和の感情をもたらすことを願っている」と語った。

一方、警官の組合代表のパトリック・リンチ(Patrick Lynch)氏は裁定を「ばかげた」ものと述べるなど、激しい批判を展開した。

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「今、ニューヨーク市警官は、誰かに手をかけるたびに見境のないものだと思われるのだ。それが仕事なのだ。犯罪者から攻撃を受け、911を呼ぶとき、あなたがたはそれを警察に求めているのではないのか。」と述べた。続けて「今パトロールに出かけているすべてのニューヨーク市の警察官に告げる。911の通報によって出動要請を受け、現場で誰かを抑えなければならない状況だった場合、まず巡査部長に連絡し、次に救急隊を呼べ。なぜなら市は君らを守ってくれないからだ。警察局は君たちを援護しないからだ」と語った。

一方、デブラシオ市長については「事前に結果を決めていた」と非難。市長は、審議終了前の7月31日の大統領選候補者討論会で「家族は正義を勝ちとる」と語っていた。

リンチ氏は市長に対し「この市長が市庁舎にきてからというもの、数年にわたって私はこの演台に立ち、彼の決定はニューヨーク市警察官に悪影響を与えると主張してきた。警察局の機能が停止してしまう。殺人犯をとめることができない。効果的な仕事ができない」と批判した。

オニール警察委員長に対しては「この街に正義があるならば、正しい判断をしなければならない。警官にキャリアを続けることを許可しなければならない。大陪審は犯罪でなかったことを認めている。政府は罪はなかったと言っている。それが今、政治が罪だと言わせているのだ」と述べた。

2014年、大陪審はパンテレオ氏を不起訴とした。その後、司法省が公民権法違反の可能性を巡って調査を行なったが、2019年に刑事告訴しないことを決定した。なお、市は2015年、遺族に対し590万ドルを支払うことで和解している。