ライカーズ島刑務所11人目の死者、患者性的虐待で有罪の医師が死亡

199

患者に性的虐待をしたとして起訴、7月にニューヨーク州で有罪評決を受けた著名な神経科医が、刑務所で自殺をはかり死亡した。AP通信が伝えた。

死亡したのはリカルド・クルチアーニ被告(68)。情報筋によると、ライカーズ島刑務所にある建物内のシャワー場で倒れているのが見つかった。刑務所を管理するニューヨーク市矯正局は名前を公表していないものの、同じ建物内で収監者が死亡したとしている。ただし、死因は明らかにしていない。

消防局に意識不明の収監者がいるとの通報があったのが午前5時50分頃で、救急隊員が蘇生を試みたが、その場で死亡が確認された。

クルチアーニ被告の代理人は、刑務官が裁判所の命令に従い、収監者を保護拘置および自殺を防ぐための監視下に置いたかどうかを含む、勾留状況について迅速な調査を実施するよう求めている。

なお刑務官の組合の代表者は、クルチアーニ被告は自殺監視下になかったことを認めており、刑務官の責任ではなく、管理上の失敗だと主張しているという。

Advertisement

クルチアーニ被告に対する量刑は来月言い渡される予定だった。さらに来年からは連邦裁判所の公判を控えていた。連邦検察は、クルチアーニ被告が過去15年間、ニューヨーク市以外に、フィラデルフィア、ニュージャージーにあるオフィスでも複数の女性患者に性的虐待をしたと主張している。

ニューヨークの刑事訴訟では、検察は、被告は鎮痛剤を過剰に処方することで脆弱な患者をグルーミングし、この中には、自動車事故などの重症患者もいたと主張した。法廷では6人の女性が証言を行い、マンハッタンの診療所を訪れた際、クルチアーニ被告が下半身を出し、性行為を要求したなどの被害を訴えた。

3日間の審理の末、略奪的性的暴行、レイプ未遂、性的虐待など12の罪で有罪を言い渡された。

一方、クルチアーニ被告は虐待を否定しており、弁護側は上訴の意向を示していたという。

1932年に開設したライカーズ島刑務所は、囚人の虐待やネグレクトなど劣悪な環境が長らく問題視されており、市は2027年までに閉鎖する計画を示している。昨年は16人が死亡しており、今年はクルチアーニ被告を含めると、少なくとも11人が死亡している。