水曜日, 7月 22, 2026
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大型テック利確、エヌビディア買い継続──議員たちの売買動向

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今週公開されたSTOCK法開示では、大型テックの利益確定と、資金の逃避先の変化が鮮明になった。6月前半から中旬にかけて、議員たちはアルファベット(GOOG/GOOGL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)などの主力テック株を売却する一方、米国債、TIPS(物価連動国債)、貴金属、エネルギー関連資産へと資金を振り向けていた。個々の売買理由は分からないものの、全体としては市場の資金シフトを映すような動きが広がっている。

ダニエル・クレンショー議員は6月1日、アルファベット、アマゾン、アップルをそれぞれ1,001〜15,000ドルの範囲で売却した。同日にはレバレッジ型ETF「Direxion Daily Financial Bull 3X Shares(FAS)」も手放し、新たに原油価格に連動する「United States 3x Oil Fund(USOU)」を購入している。大型テックと金融株のレバレッジ商品から、エネルギー関連資産へと資金を移した構図がうかがえる。

トーマス・キーン・ジュニア議員は6月だけで18件の取引を行った。アルファベット、マイクロソフトに加え、Check Point Software Technologies(CHKP)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、Markel Group(MKL)、Analog Devices(ADI)、Stryker(SYK)、S&P Global(SPGI)などを売却する一方、EQT、Wheaton Precious Metals(WPM)、ESAB、米国債を購入している。もっとも、開示文には「取引は第三者アドバイザーが主導したもので、本人の意向を反映したものではない」との注記があり、これを本人の相場観としてそのまま読むのは適切ではない。それでも結果としては、株式中心の配分から、債券や実物資産寄りへ軸足を移す流れが見える。

バイロン・ドナルズ議員はCadence Design Systems(CDNS)とMonolithic Power Systems(MPWR)をそれぞれ2件ずつ売却した後、動物用医薬品大手Zoetis(ZTS)を2件購入した。大型テックや半導体関連を減らし、景気変動の影響を受けにくいヘルスケア銘柄へ資金を移しており、単純なリスクオフというより、銘柄選別を進めたと見ることができる。

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ジョン・ブーズマン議員の開示は、テック売りというより分散調整に近い。iShares Expanded Tech-Software Sector ETF(IGV)を買いながら、abrdn Physical Palladium Shares ETF(PALL)、Schwab U.S. TIPS ETF(SCHP)、Constellation Energy(CEG)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)なども組み入れ、Tortoise North American Pipeline Fund(TPYP)、First Trust Global Tactical Commodity Strategy Fund(FTGC)、iShares 7-10 Year Treasury Bond ETF(IEF)、Atmos Energy(ATO)、Boston Scientific(BSX)を売却している。つまり、テックを一方的に外すのではなく、貴金属、TIPS、電力、医療、債券を含めたポートフォリオの組み替えが中心だ。

こうした動きは、市場全体で大型テックへの見方が変わり始めた時期とも重なる。6月24日付Yahoo Financeの報道によれば、「マグニフィセント・セブン」にブロードコム(AVGO)とオラクル(ORCL)を加えた9銘柄の時価総額が、6月だけで約2.7兆ドル減少した。野村証券のチャーリー・マケリゴット氏はこの背景について、AIインフラ投資の拡大による設備投資負担がハイパースケーラー各社のフリーキャッシュフローを圧迫し始めていると指摘している。少なくとも結果として、議員の売買も市場で進んだ資金の再配置と同じ方向を向いていた。

もっとも、テック全体が一様に売られていたわけではない。エヌビディア(NVDA)は例外で、6月は買い件数が売り件数を上回った。クレオ・フィールズ議員は6月26日、3回に分けてエヌビディアを買い増しており、AIの中核銘柄に対する強気姿勢は依然として残っている。現在の相場はテック全体の下落局面というより、AIの恩恵を受ける銘柄と、それ以外を選別する局面とみる方が自然だろう。

数字で見ても、この流れは5月から始まっていた。今年の議員によるビッグテック6銘柄の取引を月別に集計すると、1〜4月は売り件数の割合が11〜26%だったのに対し、5月には67%へ急上昇し、6月も同水準が続いた。市場がなお高値圏で推移していた段階から、議員たちは大型テックで利益を確定し、他の資産へ資金を振り向けていたことになる。

今回のSTOCK法開示から浮かび上がるのは、「テック売り」という単純な話ではない。大型テックで利益を確定し、その資金を国債やTIPS、貴金属、エネルギーへ振り向ける一方、AIの中核銘柄にはなお買いが残る。議員たちの取引からは、相場全体で進む資金の再配置と選別色の強まりが見えてくる。

議員の個別の株取引動向はcapitolowl.comで追跡中。

*STOCK法は、連邦議会議員に対し、1,000ドルを超える株式などの金融取引を45日以内に開示するよう義務付けている。個々の売買理由を知ることはできないが、ワシントンの資金がどこへ向かっているのかを示す一つのシグナルとして注目されている。本稿は、2026年7月16日までに米連邦議会上院・下院で公開されたSTOCK法開示資料をもとに作成した。