コムキャストが21世紀フォックスに買収提案 – 活発化する米メディア企業の統合

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米ケーブルテレビ大手のコムキャストは13日、エンターテイメント大手の21世紀フォックスに対し、同社のメディア資産を650億ドルで買収する提案を正式に行った。

フォックスの買収を巡っては、昨年ウォルト・ディズニーが524億ドルの株式交換による買収を提案し、合意に達していた。発表によると、コムキャストの提案は一株あたり35ドルの現金による買収で、ディズニーよりも19%高いという。

コムキャストは、以前もフォックスの買収に名乗りを上げていたが、規制当局による買収阻止を懸念したフォックス側が断った経緯がある。しかし昨日、米連邦地裁が通信大手AT&Tによるタイム・ワーナーの買収に承認を与えたことから、買収実現の可能性を見込み、提案に至った。

ブライアン・ロバーツ最高経営責任者は声明で、「昨日のAT&Tとタイムワーナーの決定、貴社の株主総会まで時間が限られていること、我々が引き続き強い関心をもっていることから、我々の以前の提案に取締役会が示された懸念に充分に応えうる、全額現金による提案を新たに提出いたします。」と買収提案にいたった経緯を述べた。

21世紀フォックスのルパード・マードック氏が売却に同意している資産には、アバターのフランチャイズやXメン、ファンタスティック・フォー、スターウォーズのオリジナル作品などの映画権を所有するフォックス映画スタジオ、フォックステレビスタジオ、さらにヤンキース「Yes」ネットワークなど、20以上のスポートネットワーク、FXを含むケーブルネットワーク、動画ストリーミングサービスHuluの株式30%などが含まれる。ニューヨークタイムズによると、その先に、ヨーロッパの有料放送事業者スカイやインドのメディア最大手スターの株式など、フォックスの所有する海外資産が、コムキャストにとって大きな目玉となると見られる。

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コムキャストに対し、フォックスは提案を受け取ったことを発表。7月10日の株主総会を延長または延期するか、決定していないとしている。

コムキャストやAT&Tが求める通信会社とコンテンツ企業の垂直型の統合は、ネットフリックスやアマゾン、グーグルなどIT企業を中心に拡大するストリーミングサービス時代の生き残りに不可欠と考えられ、今後、米メディア企業の統合の動きが活発化すると見られている。