ブルース・ウィリスがディープフェイク会社と契約報道は「デマ」だった

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俳優ブルース・ウィリスの代理人は1日、デジタル肖像権をディープフェイク関連会社に売却したという報道はデマだと明らかにした。

テレグラフなど複数メディアが先日、ロシアの企業ディープケーキ(Deepcake)社に、映画使用のために「デジタル・ツイン」の製作を可能とする権利を売却したと伝えていた。

しかしこの度、ウィリスの担当者はハリウッドレポーターに声明で「ディープケーキ社とはパートナーシップまたは契約を締結していない」と発表した。

ディープケーキ社は2021年、ロシアで放映されたMegaFonのCMのために、ウィリスとデジタル・ツインを製作する契約を締結している。同社の広報担当者もハリウッドレポーターに、デジタル肖像権はウィリスのみに帰属しており、これらを売却することはできないうえ、今後肖像権を使用するかどうかは、ウィリス次第だと話した。

ディープケーキ社のホームページのトップページには、クライアントとしてウィリスの名前が上がっている。

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ウィリスは新たなテクノロジーによって、別の場所にいても仕事や撮影をすることができ「全く新しく、興味深い体験」とコメント。キャラクターの「精巧さ」を気に入っており、「時代を遡るのに、素晴らしい機会」だと話していた。ちなみにデジタル・ツインは「ダイハード」や「フィフス・エレメント」などの映画を元に作られたという。

©deepcake

▼当時のメイキング映像

3月に引退発表

今年3月、ウィリスの家族や前妻で女優のデミ・ムーアは声明で、医師から「失語症」と診断されたと明かし、俳優業から引退すると発表した。

関係者からは、ウィリスが健康に問題を抱えているのは、数年前から周知の事実だったという声も上がっている。「ハード・キル」(2020)の共演者はロサンゼルスタイムズに対し、台本にないタイミングで、撮影用の小道具銃を2度誤射したことがあったと明かした。また、同年ジョージア州で撮影された「ホワイト・エレファント」の現場では、自分が何をしているのかと周囲に尋ねる出来事もあったという。

しかしプロデューサーのランドール・エメット氏は、2006年以降、ビデオ・オン・デマンド作品を中心に、20作品にウィリスを起用していた。エメット氏は、健康に問題があったことは認識していなかったと語っている。

NBCやABCなどの番組でエグゼクティブ・プロデューサーを務めたジョー・フェルーロ氏は、「ハリウッドが見捨てたブルース・ウィリス」と題した論説をThe Hillに投稿し、「アカデミー賞の魅力とは程遠いところで、プロデューサーらが投資家と配給元をとりつけるために奪い合う、低予算のアクションとホラー映画の世界がある」と業界の問題点を指摘している。