研究者らパンデミックのリスクに警鐘、ミンク農場で鳥インフルエンザが変異

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ミネソタ大学感染症研究政策センター(CIDRAP)は、1月21日付で、スペインの研究者らが、ミンク農場で発生したミンク間における鳥インフルエンザのアウトブレイク(感染急拡大)について詳細な研究を発表したと伝えた。

問題のミンク間における鳥インフルエンザのアウトブレイクは、2022年10月初旬、約5万2,000匹を飼育するスペイン北西部ガリシア州にあるミンク農場で発生した。

ミンクの死亡率が急増したことから、鼻の奥から検体を採集し、遺伝子を解析したところ、H5N1型の鳥インフルエンザウイルスが確認された。

H5N1型の鳥インフルエンザウイルスは、毒性が強く、パンデミックを引き起こせば、世界中で甚大な被害が出ることが懸念されている。

ミンクの死亡率は週を追うごとに増加。最初に感染が確認されたホットスポットから飼育場の他の場所へと拡大し、ミンクの死亡率は10月の末にピークを迎えた。

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事態を受け、動物衛生サービスが殺処分を指示。10月18日から11月17日までに感染が確認された飼育場の全てのミンクが処分された。

その後、より詳しく遺伝子を解析したところ、次のようなことが判明した。

まず、この鳥インフルエンザウイルスは、複数の大陸にまたがって、現在、野鳥や家禽の間で流行している系統群に属し、特にヨーロッパ全土に渡って生息する海鳥の間に存在する株に最も近いことが解った。

また、この鳥インフルエンザウイルスには、PB2と呼ばれる遺伝子に通常みられない変異があることが解った。このような変異は、ヨーロッパケナガイタチにおいて、これまでに一度しか確認されたことがないという。ミンクの間で感染を繰り返すうちにこのような変異が生じたものと考えられる。

同様の変異は、2009年に世界的なパンデミックを引き起こした豚インフルエンザウイルスの持つ鳥インフルエンザウイルスとよく似たPB2遺伝子にも存在し、ヒトへの感染を可能にしている。そのため、研究チームは、このような変異は、公衆衛生への潜在的な脅威となる可能性があると警告している。

感染経路については、ミンクの間にアウトブレイクが起こる数週間前から、ガリシア州でこの鳥インフルエンザウイルスに感染し、死亡した野鳥が複数確認されていた。ミンクの飼育場の一部が外部に解放されていたところから、野鳥によってこの鳥インフルエンザウイルスが持ち込まれた可能性があるという。

幸い人間への感染は確認されなかった。しかし、研究チームは、ミンクと野生動物の接触を防ぐと共に、ミンクからヒトへの感染をコントロールする必要があると強調している。

研究結果について、他の研究者らからも懸念の声が上がっている。インペリアルカレッジロンドンのウイルス学者、トム・ピーコック氏は、サイエンス誌に「H5のパンデミックが始まる明確なメカニズム」だとし、「非常に懸念すべきこと」だと指摘。欧州連合レファレンス研究所の獣医研究者のイザベラ・モネ氏は、発見は「警鐘」と危機感を示している。

(翻訳・文/飯銅重幸)