バーニー・サンダース米上院議員 国民皆保険法案を公表

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バーニー・サンダース上院議員(無所属 バーモント州)は10日、公的医療保険制度を全国民に拡大する法案「メディケア・フォー・オール法(The Medicare for All Act of 2019)」を公表した。

法案は、民間保険会社を排除し、政府が保険料を徴収・医療費を支払う単一支払者医療保険制度の設立を目指すもので、同議員が2017年に提出した法案の改定版となる。法案には、カーステン・ギリブランド上院議員、コーリー・ブッカー上院議員、カマラ・ハリス上院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員など、大統領選に出馬する民主党候補者のほか、合計14人の民主党議員が共同提案者に加わっている。

サンダース議員は公表資料の中で、国民の医療費支出がGDPの18%に相当し、一人当たりの支出は先進諸国の平均値の2倍であるにも関わらず、未成年の死亡率が先進諸国中で最大となるなど、米国は最も高額かつ無能、官僚主義的な医療制度を採用していると主張。制度の失敗は、品質の良い医療を効果的に提供するためではなく、民間保険会社や製薬会社、医療機器提供者の利益を最大化するための制度であるからだと批判した。

資料ではまた、皆保険制度で広範な領域をカバーする計画を明らかにした。

案では、入院や通院、緊急医療、一次医療(プライマリ・ケア)、予防医療、処方薬、歯科治療、ビジョンケア、メンタルヘルスや薬物乱用治療のほか、妊娠、出産、自宅やコミュニティーにおける長期介護もカバーする。患者は医師を自由に選ぶことができ、医療機関への一定の自己支払い(Co-payment)や、保険給付の開始条件となる最低金額の支払い(Deductible)はなく、一切の自己支払いを必要としないとしている。

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コスト面については、単一支払者医療保険が最も費用効率の高い方法であると主張する。医療機関における保険手続き等の減少で、年間5,000億ドルの削減につながるほか、全国民が基本医療を受けやすくなることで、高額な緊急治療費を減少させることができるとコスト効果を強調。さらに政府が製薬会社に対し強力な交渉を行うことで、10年単位で数千億ドルの費用削減が可能になると考えを述べている。

サンダース議員この日、財源に関する資料も同時に公表した。資料では、一定以上の所得の労働者や雇用主に対する保険料率案のほか、1,000万ドル(11億円)以上の高所得者に対する限界税率の70%への引き上げや遺産税の最高税率を77%に設定するといった税制改定、大手金融機関に手数料を課す案などを発表した。