お酒だけじゃない!NYで未成年がホイップクリーム缶を購入できないワケ

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ニューヨーク州にあるコンビニでスプレータイプのホイップクリームに掲示された警告がオンライでシェアされ、話題になっている。張り紙には「8月12日からホイップクリームに身分証明書を提示を求める!21歳以上でなければなりません!」とある。

実はニューヨーク州では、21歳以下への缶入りホイップクリームの販売が禁止されており、張り紙はこれに対応したもの。違反が見つかった店には初回で250ドル、2回目以降は500ドルの罰金が課される。

同法が施行されたのは昨年11月。主に10代の若者が亜酸化窒素(N2O)を吸引する目的でホイップクリーム缶を入手するのを防ぐために制定された。亜酸化窒素は無色のガスで、医療用の麻酔薬などでも使われており、所持そのものは合法。米麻薬取締局(DEA)のファクトシートによると、「一般の家庭用製品に含まれ、蒸気を吸い込むと精神機能の活性化や感情の変化などの影響をもたらす」という。吸引するとハイになり、“笑気ガス”とも呼ばれる。

ホイップクリーム缶に含まれる亜酸化窒素は俗に「ウィペッツ(whippets)」とも呼ばれており、若者の5人に1人が8年生(中学2年生)までに、このような家庭用製品に含まれる向精神性のある吸引物を使用したことがあるという。こうした吸引物の乱用は、「脳内の思考、活動、視覚、聴覚をつかさどる部分に損傷を与える恐れがある」とDEAは警告している。

この法案を提出したニューヨーク州議会上院のジョゼフ・アダボ議員(クイーンズ区選出)は、昨年10月の声明で、「ウィペッツの対応の必要性を感じたのは、路上に空き缶が散乱しているとの苦情を相次いで受けたことがきっかけだった。地元で使用済みのウィペッツが山積みになっているのは目の毒であるだけでなく、亜酸化窒素の乱用が顕著に増えていることを示すものだ」と述べた。

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アダボ議員はさらに、「亜酸化窒素は専門施設での使用を前提とした合法の化合物だが、不適切に使用された場合は命に関わる非常に危険なものだ。悲しいことに、若者たちはこれを『安全な』物質だと誤解して、『ハイになる』ために亜酸化窒素を買って吸引している。この法律は、若者がこの危険な物質を容易に入手するのを防ぐものだ」と、この法律の重要性を訴えた。

オールバニ・タイムズ・ユニオンによると、一部の小売店は今後、セルフレジで購入する際にも、年齢制限の警告をするなどの措置を講じる計画を示している。