フェイク令嬢アンナ・ソローキン  初の個展開催 獄中作品20点

284

今年2月に配信され、話題を呼んだネットフリックスのドラマ「令嬢アンナの真実」(Inventing Anna)のモデル、アンナ・ソローキンがニューヨークで初の個展を開催する。

個展は「Allegedly」と題され、19日(木)にパブリック・ホテルで一夜限りで開催される。Time Outによると、部外者は参加できず、アート・ディーラーで、イベントに関してソローキンの代理人をつとめるクリストファー・マーティン氏は、完全なプライベートイベントだと説明している。

ソローキンは昨年3月、滞在資格が失効しているにも関わらず国内にとどまっていたとして、移民関税執行局(ICE)に拘束された。現在、オレンジ郡にある拘留施設に収監されている。今年3月、個展ではないが、マンハッタンで開催されたアートショー「Free Anna Delvey(アンナ・デルヴェイを解放せよ)」に、自身の描いた絵画5点の複製品を出展し、話題を呼んだ。

PageSixによると、ソローキンは施設から同サイトに宛てた声明で、今回の出品作品について「ICEのオレンジ郡拘置所で制作したスケッチコレクション」と説明。「過去数年間にあった、これまで披露されることのなかったアイコニックな瞬間を、限られた道具で捉えたかった。単刀直入な作品から抽象的なものもあり、観るものにとってユニークな意味と作風を提供する」と語った。

芸術家としてのバックグラウンドは「パリのパーソンズでファッションイラストを学んだが、それ以来スケッチをしておらず、ここニューヨークの刑務所で再開した」と明かし、「すでに多くの話を聞いていると思うが、これこそが私の視点から、私の物語、私の話を語る始まりなのだ」と、個展の意義を説明した。

Advertisement

ちなみに、ソローキンは、事件をテレビシリーズ化する権利料として、ネットフリックスから32万ドルを受け取り、被害者への返済に当てたと伝えられている。

主催者側は、PageSixに、個展では、ソローキン本人が「ビデオリンク」で出演すると話しているという。

前出の代理人、マーティン氏は、展示作品は20点あるとしている。施設に画材を差し入れたり、作品を受け取ることが困難で、届けることができたのは色鉛筆と水彩画用紙のみだったという。「彼女は主に刑務所のゴム製のペンと鉛筆に依存していた」とソローキンの獄中の創作活動について明かした。

個展では作品の個別販売をせずに、コレクション全体の48%のオーナーシップを販売するという。価値にして50万ドル(6400万円)と説明している。

ソローキン(31)は、自分をドイツの資産家の娘で、6,000万ドル相当の信託の相続人「アンナ・デルヴィー」と偽り、友人やニューヨークのブティックホテル、金融機関から大金をドルをだまし取ったとして2017年に逮捕。2019年4月に重窃盗罪など、複数の罪で有罪評決を受けた。4年~最大12年の実刑を言い渡されたが、模範的な受刑態度が認められ、昨年2月に仮釈放が認められた。

釈放からわずか1ヶ月後にICEに捕まり、不自由な生活に戻った。先月、ドイツに強制送還されたとの憶測が流れたが、弁護人は「彼女は今やどの国に行くこともできるが、ここに留まり、汚名をそそぎ、追放と戦うことを選択した」と語っている。