フェイク令嬢「アンナ」獄中から画家デビュー、その狙いは?

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ネットフリックスのドラマ「令嬢アンナの真実」(Inventing Anna)のモデル、ソーホーの女詐欺師ことアンナ・ソローキン(31)が強制送還の追加猶予を認められたことがわかった。

ソローキンは自分をドイツの資産家の娘「アンナ・デルヴェイ」と偽ってニューヨークの社交界に紛れ込み、マンハッタンの複数の高級ホテルに料金を払わず滞在を繰り返したり、友人や富裕層などから数十万ドル規模の大金をだまし取ったりしたとして逮捕された。2019年に第1級重窃盗未遂罪、第2級重窃盗罪、第3級重窃盗罪、サービス窃盗罪で有罪となり実刑判決を受けた。

昨年2月に仮釈放が認められたが、滞在資格が失効しているにも関わらず国内にとどまっていたとして、翌月、移民関税執行局(ICE)によって拘束され、ニューヨーク州オレンジ郡にあるの拘留施設に収監された。

先月、ドイツに強制送還されたのではないかとの憶測が流れたこともあったが、ICEの広報担当者はFOX5ニュースに宛てた声明で「ソローキンは3月21日に第2巡回裁判所から強制送還の追加猶予が認められた」と説明。「猶予期間中、彼女はICEの拘束下にある」と明らかにした。

強制送還をめぐっては、昨年11月にも司法省の移民控訴委員会が1度目の猶予を認めていた。送還が執行される時期などについて、ICEは保安上の懸念を理由に回答を控えた。

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マンハッタンで画家デビュー

先月、マンハッタンで「Free Anna Delvey(アンナ・デルヴェイを解放せよ)」と称したアートショーが開催された。出品作品の中には、ソローキンが描いた絵画5点の複製品も展示された。

企画に加わったアルフレッド・マルチネス氏は、過去、バスキアの贋作をコレクターら売り付けたことから、刑務所暮らしを経験している。Artnetによると、マルチネス氏も服役中に芸術家に転身し、獄中で描いた作品の中にはニューヨーク近代美術館(MoMa)に展示されたものもあるという。

ソローキンの作品には1万ドルの値がつけられたものもあったというが、実際に売り上げがあったかは明かされていない。

オープニングには弁護士のトッド・スポデックも出席し、ソローキン自身も勾留施設の中からオンラインで挨拶し、感謝を述べた。

ソローキンにとって展示会は、単に画家転身を祝うものだけではないようだ。

ソローキンの弁護団の法律顧問をつとめるアイラ・メヤロヴィッツ氏はデイリービーストに、イベントは、強制送還と格闘中の「アンナを本当に助ける」と説明。ソローキンの弁護団は非移民ビザの一種である、O-1ビザの取得を目指していることを明かした。在日米国大使館のホームページによると、O-1ビザは「科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツの分野で卓越した能力を有する外国人」に発行されるとある。

なおニューヨーク・タイムズによると、ソローキンは早ければ今月にも「マンハッタンの高級な会場」で自身の絵画作品20点を発表する計画だという。