米大統領選 ベーシックインカムの民主アンドリュー・ヤン候補が撤退

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ニューハンプシャー州で民主党予備選が行われた11日、ベーシック・インカムを公約の中心に据えて選挙戦を戦ってきた起業家のアンドリュー・ヤン(Andrew Yang)氏が撤退を表明した。

ヤン氏は支持者に宛てたメールで「数百万人の人々に触れ、改善をし、愛するこの国を正しい方向に動かした。まだ大きな仕事が残っているが、わたしは”MATH”男だ。今晩、このレースに勝てないことが数字で明らかになった。わたしは勝てないレースのための寄付と支持を受け取るような人ではない。だから今晩、私は大統領選キャンペーンを停止する」と語った。

ヤン氏はアジア系アメリカ人として初めて民主党の指名獲得を目指していた。

MATHはキャンペーンスローガンの「Make America Think Harder」の頭文字をとったもの。選挙戦を通じて、オートメーションの急速な発達がもたらす産業変革に対応する政策の必要性を訴えた。

ユニバーサルベーシックインカムを「自由の配当(The Freedom Dividend)」と呼び、18歳から64歳のアメリカ人すべてに月1,000ドル(11万円)を支給することを提案していた。

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ヤン氏は「当初から、私の目標は常にドナルド・トランプを当選させた問題を解決することだった」と述べ、「ドナルド・トランプが問題なのではなく、彼は症状なのだ。彼を当選させた病気を治療しなければならない。そのためには、人々に影響を与える真の問題に対処し、実際に解決できるソリューションを提供しなければならない」と支持者に語りかけた。

ディベートや集会を通じてヤン氏は、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニア、ウィスコンシン州といった激戦州におけるトランプ氏の勝因を、オートメーションによる大量の雇用喪失によるものと主張し続けた。

自身をイデオロギーに拠らない候補者として位置付け、MATHに加えて「Not left, not right, but forward」のスローガンが有名となった。ベン・シャピロ(Ben Shapiro)やタッカー・カールソン(Tucker Carlson)といった保守コメンテーターのインタビューにも積極的に応じた。ニューヨークタイムズは昨年8月の記事で、ヤン氏はツイートをよく利用するが、ツイートでトランプ大統領に言及することはほとんどない、と特筆している。

2月9日 ニューヨークチャイナタウンの春節祭パレード。「ヤン・ギャング」と称するサポーターが行進し、支持を呼びかけた。@mashupNY

過去三回のビジネスインサイダーの世論調査では、どちらの党に投票するか決めていない有権者の46%が支持を表明。バイデン前副大統領の42%を上回り、民主党の候補者中トップだった。第6回目となった12月の討論会では、寄付や世論調査の要件を満たして出場資格を得た唯一の有色人種の候補者となった。

ヤン氏はメールで「ユニバーサル・ベーシック・インカムは人々の会話の主流の一部となった。18-34歳の民主党の有権者におけるユニバーサル・ベーシック・インカムの支持を66%に押し上げた。」と成果を述べつつ、「この波は始まったばかり。これは、経済のルールを書き換えて、経済がこの国の人々のために働くようになるまで続く」と語った。