極秘入院のオースティン国防長官 入院理由が判明

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ウォルター・リード国立軍事医療センターの医師らは9日、ロイド・オースティン国防長官の入院は、12月に受けた前立腺がんの手術後に発症した合併症のためであると発表した。

声明によると、オースティン氏に「治療が必要な前立腺がん」が特定されたのは12月初旬で、同月22日に入院し、「前立腺切除術」が施された。手術の間、全身麻酔が用いられた。翌朝に帰宅したが、1日になって手術による「吐き気と激しい腹部、股関節、脚の痛みを伴う合併症」のため再び入院した。初期評価により尿路感染症であることが判明したが、2日にICUに移してさらなる検査をした結果、腹水がたまり小腸に影響を与えていることがわかった。腹水は「ドレーン留置」により排出され、「時間はかかるが、完全に回復する」見込みだという。1日以降、全身麻酔は受けず、オースティン長官は一度も意識を失っていないとしている。なおオースティン氏は入院中であるものの、すでに職務に復帰している。

オースティン氏の入院が公にされたのは5日。当初は「最近受けた選択的手術後の合併症」とだけ伝えられていた。

入院理由については明らかにされたが、入院の事実がなぜバイデン大統領やホワイトハウス高官、報道機関に数日間伏せられたのかという疑問は残されている。休暇でプエルトリコに滞在中していたナンバー2のキャスリーン・ヒックス国防副長官は、2日に代役に就任したが、入院については4日まで知らなかったと伝えられている。

医師らは声明の中で、前立腺がんは珍しい病気ではないとしつつ、「検診や治療、サポートに関する議論は、非常に個人的でプライベートなものになることがよくある」と強調している。

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なお、ニューヨークタイムズは同日、ホワイトハウスが閣僚らに宛てた書簡で、長官が職務遂行不能に陥った場合の権限移譲のプロトコルを審査するとし、12日までに各機関固有のプロトコルを提出するよう求めたと報じた。

今回の問題をめぐって一部の共和党議員から辞任を求める声が上がっている。

下院共和党のナンバー4、エリス・ステファニク議員は「わが国の勇敢な軍人が、イランが支援するテロリストの攻撃にさらされている間、国防長官は集中治療室にいて、国防副長官は休暇をとっている。ジョー・バイデンとホワイトハウスは全く気が付いていなかった」とした上で、「驚くべき職務怠慢」と非難。「敵は注意深く監視している。オースティン長官は即刻辞任しなければならない」と主張した。

トランプ氏も非難に加わり、Truth Socialのアカウントに「職業上の不適切な行為を理由に直ちに解任されるべき」と投稿。「彼は一週間行方不明で、上司で不正直者のバイデンをはじめ、彼がどこにいるのか誰も手がかりさえなかった」と続けた。

一方、バイデン氏がオースティン氏を解任する計画はなく、国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は記者らに、オースティン氏が引き続きリーダーシップを取ること以外に「何も計画はない」と説明している。