ドッペルゲンガー毒入りケーキ殺害未遂 裁判が開始

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30日、容姿が瓜二つの女性になりすまそうと、毒入りチーズケーキを食べさせ、殺害しようした女の裁判が、ニューヨークの地方裁判所で始まった。

事件が起きたのは2016年8月。被害にあったアイラッシュ・スタイリストのオルガ・ツヴィクさんの説明によると、ロシア国籍を持つヴィクトリア・ナシロヴァ被告から、まつ毛の応急処置をしてほしいと依頼があった。被告はその際「いまブルックリンにいて、有名なベーカリーのチーズケーキを持っていくわ」とお礼の品を持参すると告げた。

被告は自宅に入るや否や、ケーキを2切れ食べてみせ、3切れ目をツヴィクさんに差し出した。これのケーキを食べた約20分後、気分が「非常に悪化」したという。

リトゥールギス検事補は冒頭陳述で、チーズケーキの入れ物からは、向精神薬のフェナゼパムやナシロヴァ被告のDNAが採取されたと説明した。

ツヴィクさんはすぐに吐き気をもよおし、ベッドのそばで床に嘔吐した。この時、被告は「心配しないで、私が片付ける」などと声をかけ、バスルームからペーパータオルを持ってきたという。その後、ツヴィクさんは自宅を訪れた別の友人によって発見された。

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検察は、被告はパスポートや現金4,000ドル、労働許可証、指輪などの所持品を盗んだほか、ツヴィクさんの体のまわりに薬をばら撒き、自殺を図ったようにみせかけたと主張。陪審員に対し「全ては非常に慎重かつ念入りに行われた。なりすましのために毒殺しようとしただけでなく、自殺に見せかけるためベッドルームを整えた」と計画的な犯行だと強調した。

なおナシロヴァ被告は事件後、ニューヨークポスト紙の取材に「彼女は食中毒を起こしただけだった」と語っている。

裁判では今後、ロシアの出会い系サイトでナシロヴァ被告と出会ったクイーンズ在住の男性が出廷する予定だという。検察によると、この男性は2016年、被告が調理した魚と野菜を食べた3日後、搬送先の病院で目が覚めた。この際、時計と現金が盗まれていたという。検査は、男性の症状はツヴィックさんと「非常に似ていた」と話した。

ナシロヴァ被告は2019年にも、ブルックリンで、男性に薬を飲ませ、窃盗を試みたとして、軽窃盗罪で起訴され有罪を認めている。さらにロシアでは、隣人に薬を飲ませ殺害したうえ、遺体を燃やしたとして起訴されていると伝えられている。

被告の弁護士は陪審に「検察が主張するほど単純明快なものではない」と述べるなど、複雑な事情がある可能性を示唆した。

ナシロヴァ被告は現在、殺人未遂および強盗などの罪で起訴されており、有罪判決を受けた場合、最長で25年の禁固刑を科せられる可能性がある。