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「ザ・サリヴァンズ」とは?米伝説の駆逐艦が沈没の危機

太平洋戦争で各地の海戦に加わったフレッチャー級駆逐艦「ザ・サリヴァンズ」の船体に大量の水が侵入。沈没を防ぐための活動が続けられている。

船は、ニューヨーク州バッファローにあるエリー郡海軍軍事公園で記念艦として公開されているもの。現在SNSには、船体が傾き、右側の後方が水に浸かっている様子が投稿されている。

地元紙バッファローニュースによると、船体に穴が空いているが、大きさは判明していない。軍事公園の代表ポール・マルチェロ氏は「最悪の時点は過ぎた」と回復の見通しを述べ、「この船は再び立ち上がる。失敗は選択肢にない」と自信を示している。

米沿岸警備隊は、船内に300万ガロンの水が侵入していると推定している。

船が水に浸かっているのが確認されたのは13日(水)の午後9時から10時頃だったという。マルチェロ氏によると、右舷側の船体後方に裂け目があり、翌日にはダイバーらが原因調査を行ったが、水温が低く、濁っていたため中断を余儀なくされた。海洋技術者や海洋関連企業、連邦および地方行政当局が協力して水の汲み出し作業を実施している。木曜には船体が垂直になり始めたという。

バッファローのバイロン・ブラウン市長は同紙に、サリヴァンズの状態に「深刻な懸念」を抱いていると述べ、「米海軍の遺産の重要な部分であり、ここバッファローやニューヨークだけでなく全米、国際的にも重要である」と語った。

バッファローが地元のキャシー・ホークル州知事は「船は世界大戦で5人の息子を失ったサリヴァン家、命を落とした40万人の兵士など、ヒーローへのオマージュだ」と投稿。「忍耐の象徴」を復活させるため、州の諸機関が協力していると強調した。

ザ・サリヴァンズとは?

ザ・サリヴァンズは1943年に就役したフレッチャー級駆逐艦で、世界で4隻残っているうちの一つ。全長114メートル、排水量2,100トン、乗員は310名。船名は、ガダルカナルの戦いで戦死したサリヴァン5兄弟にちなんで命名された。

ニューヨークタイムズによると、1944年1月にパールハーバーを出発し、太平洋各地の海戦に加わった。硫黄島の戦いでは飛行場を爆撃し、日本の空襲からの護衛の務めた。潜水艦の捜索などの任務を果たしたほか、日本の商船の乗員らを救出したこともあった。沖縄の戦いでは、米軍の上陸をサポートした。朝鮮戦争にも参加し、北朝鮮の補給線を攻撃する空母を援護した。

第二次世界大戦で従軍星章を9個、朝鮮戦争で2個受賞。1965年に退役し、1977年にバッファローに寄贈された。1986年から国定歴史建造物に指定されている。

エリー郡海軍軍事公園にはサリヴァンズのほかに、軽巡洋艦「リトルロック」、潜水艦「クローカー」が寄贈されているが、マルチェロ氏は、問題が解決するまで公開を控える意向を示している。

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